【MLB】日米野球で母と祖父の国・日本に来るイエリチ 背中を押した亡き友への思い

ブルワーズのクリスチャン・イエリチ【写真:Getty Images】

マーリンズではイチローとチームメート「どういう国なのかを目にする絶好の機会」

 11月8日~15日に開催される「2018日米野球」および同エキシビションゲームに出場するMLBオールスターチームに選出されたブルワーズのクリスチャン・イエリチ外野手にとって、日本は縁の深い国だ。そのイエリチが、米国のメジャーリーガーを代表して日米野球に出場することに対する思いを語った。MLB公式サイトが伝えた。

 イエリチは母方の祖父が日本人で、いわゆる日系三世だ。しかも、昨年までのマーリンズ時代にはイチローとチームメート。記事によると、イエリチは母・アレシアさんが日本に行きたがっていたことを明かし、「実際に行ってみて、どういう国なのかを目にする絶好の機会だと僕も感じた。僕も行ってみたかったわけだし、この機会が舞い降りてきたんだから、掴んでおくべきだと思ったんだ」と、日本行きを喜んだ。

 正直なところ、オフシーズンの親善試合での遠征というのは、選手にとっては大きな負担となることも事実だ。MLBの公式サイトによると、イエリチもオファーが来た時には、「自分のルーティーンから脱線したくはない。あらゆる選択肢を検討したんだ」と、行くべきかどうか少し考えたという。

 しかし、背中を押したのは、自らの中に流れる日本人の血とともに、亡き友の存在だった。2016年9月25日、ボート事故で死亡したマーリンズのエース、ホセ・フェルナンデス。あれから、もうすぐ2年がたつが、いまだにあの衝撃的な事故は当時のマーリンズの選手に影響を与えている。

「可能なうちに経験しておかないと。野球人生は短い。人生も短い」

「僕たちの多くは、その(事故の)後によく考えることになったと思う。『野球選手としての時間はすぐに去ってしまう』ということをね。それが今回の決断の決め手なんだ。『可能なうちにこういうことは経験しておかないとな』と自分に言い聞かせた。野球人生は短いものだからね。そして、人生そのものも短い。(日米野球は)素晴らしい機会だ」

 野球人生も、自分の人生も、一瞬のうちに過ぎ去ってしまうもの、ならば、母親と祖父の国・日本へ行くチャンスを見送るべきではない――。イエリチが日本行きを決意した裏には、深い思慮があった。

 MLBオールスターの監督は、昨年までイエリチとともに戦っていたマーリンズのドン・マッティングリー監督。MLB屈指の好打者は、古巣の指揮官とともに、母、祖父の母国で大暴れしてくれそうだ。(Full-Count編集部)

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