金属行人(9月13日付)

 久しぶりにインドネシアへ出張した。インドネシアは登録人口が2億6千万人、1万7500以上の島から成る国だ。人が住む島だけでも6千程度あり、350もの民族がいて、言語は500語以上あるという。多様な人種が混ざり合った国で複雑ともいえるが、そこが面白さであり奥深さでもある▼わが国も島の数は約7千ある。一番多い長崎県は970もの島がある。夏休みを利用して九州南部の島に出かけたが、日本が火山や台風など自然と共生していることを痛感した▼何事においても現地を訪れて初めて知ることは少なくないが、インドネシアで高炉メーカーが展開する合弁事業会社で、社歌を聞いた時は少々驚いた。セレモニーの席上、2年目の社員が10人程度舞台に上がって唱和していたが、歌詞も曲も社員の手作りだという。歌詞の中身と歌う社員の表情からは、強い誇りや愛社精神を感じずにはいられなかった▼インドネシアの1人当たりGDPはまだ約4千ドルレベルと日本より桁が一つ少ないが、人口が多く、豊富な資源を持つなど潜在的な力は大きい。金属資源の調達、金属製品の販売の両面で、日本にとって大事な国であり、大事なマーケット。理想的な共生を図りたい。

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