阿蘇、絶景復活へ 地震被害の山上一帯、展望所や牧柵の整備着々

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草千里北側の高台で整備が進む展望所を兼ねた木製の通路。展望デッキ(左奥)に通じる遊歩道の工事も進んでいる。中央の白い建物は阿蘇火山博物館。右奥は中岳火口=6日、阿蘇市

 熊本地震で被害を受けた阿蘇山上一帯で、展望所や牧柵[ぼくさく]などの整備・復旧が進んでいる。雄大な風景の魅力を高めており、地震で落ち込む観光客の回復を後押ししそうだ。

 東に中岳火口の噴煙、西に熊本市街地方面を一望できる草千里近くの展望所。地震前はなかった広さ280平方メートルの展望デッキと木製通路が姿を現している。登山道路・県道阿蘇吉田線沿いの駐車スペースからデッキまでの約150メートルは、車いすで移動できるよう勾配の緩やかな遊歩道を新設中だ。

 いずれも県が、外国人客増を狙う国の「国立公園満喫プロジェクト」を活用し、約7千万円をかけて整備。11月中の完成を見込む。

 一帯は国立公園の第2種特別地域。デッキには防腐処理した県産スギが使われている。「落ち着いた焦げ茶色で風景に溶け込むと思う」と県阿蘇地域振興局。

 展望所から阿蘇市黒川のJR阿蘇駅方面に下った登山道路沿いでは、約2・7キロにわたって牧草地とを仕切る高さ約1・5メートルの木製の牧柵[ぼくさく]が更新中。こちらも県が同プロジェクトを活用し、昨年末から工事を進めている。9月中の完了を予定し、事業費は約1億7千万円。

 元の牧柵は20年前の建造で、老朽化していたところに地震による損傷が加わり景観が悪化していた。工事は麓側から順次進め、終了箇所では放牧された牛馬を柵越しに写真に収める観光客らも。柵の支柱は、強度の高いコンクリート製の擬木[ぎぼく]に変更された。

 一帯ではほかに、山上広場駐車場の改修や県が管理するトイレの洋式化を実施。地震により使用不能となった水源に代わり、山上の観光施設に送水する延長約8キロの水道も4月末に復旧している。

 同振興局は「交通事情の悪化で阿蘇の観光客回復は厳しいが、施設の復旧は着実に進んでいる。世界に誇る風景がよみがえる呼び水になれば」と話す。(岡本幸浩)

(2018年9月13日付 熊本日日新聞朝刊掲載)