キユーピーなど3社が海上共同輸送、CO2を62%削減

キユーピー、ライオン、日本パレットレンタル(東京・千代田)の3社はこのほど、船舶を活用した共同輸送を始めた。物流業界で深刻化するドライバー不足や輸送費の上昇を緩和するため、個別にトラック輸送などを手配していた異業種3社が、フェリーを活用し商品の共同輸送に取り組む。陸運については10人程のドライバーで輸送していたルートが3人程に省力化される、62%のCO2が削減されるなどの効果が出ているという。(オルタナ編集部=堀理雄)

各社の拠点は、関東から中国、四国、九州地方と全国に広がる。拠点間を結ぶ輸送はこれまで個別にトラックで輸送していたが、東京―福岡間をフェリーで結び共同輸送を実施。トラックによる陸送は港と各社拠点間だけで済むため、ドライバーの大幅な負担軽減、CO2の排出量削減に結び付いた(下図参照)。

長距離トラック輸送の場合、行きの積み荷を降ろした後、帰りの積み荷が同ルートであるとは限らないため、どうしても積み荷なしでトラックが走る区間が多かった。今回の取り組みにより、海運を含め総移動距離2811キロのうち荷物を積んで輸送する距離は2797キロで、その割合(実車率)は99.5%。効率的な輸送が実現した。

共同輸送の場合、輸送ルートと拠点の位置関係がうまく合致する連携先を見つけるなど難しさもある。また今回輸送する各社の商品は、調味料やせっけん、物流機器とさまざまであり、同じコンテナを使用するためにおいが残らないかなどの課題もあったが、輸送テストを繰り返すなど慎重に準備を重ねた。

現在この共同輸送は、キユーピーの場合、週6日のうち1日とまだ一部に留まるが、今後この取り組みが軌道に乗ればさらにその割合を増やしていく予定だ。

同じ業界内での共同輸送はこれまでにも多く行われているが、異業種間での取り組みも併せて進めていくことで、持続可能な物流に向けた輸送の省力化や環境負荷の低減がさらに進む可能性がある。キユーピー広報部の村居綾子さんは、「人手不足など物流に危機感を持つ企業は多く、今後も同業種、他業種問わず広い連携をつくっていきたい。共同輸送に壁はない」と述べた。

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