V長崎、正念場

 4連勝を果たし、とうとう暫定2位に浮上-。昨年の今頃の紙面を読み返すと、試合結果を弾んだ調子で伝えている。ひたすら上を向き続けたV・ファーレン長崎は13試合も負けなしのまま昨季を終え、J1昇格を成し遂げた▲きっちり守り、機を逃すことなく一気に攻める。チームが持ち味とする「堅守速攻」が、このところ鳴りを潜めている。7月以降のV長崎は1勝1分け8敗と負けが込み、最下位に転落してしまった▲ワールドカップでの中断期間を使い、ボール保持率を高める「攻め」の戦術に変えたというが、J1常連にはやすやすと通じない。トップリーグの厳しさを思い知らされる▲どうやら1年でJ2に逆戻りする可能性も出てきた。残り9試合の今、まさに正念場に立っている▲J2に目を移すと、トップの町田がスタジアム規模などで「J1基準」を満たしておらず、たとえ1、2位で今季を終えてもJ1には上がれないらしい。そうなればJ1昇格の枠が減り、それに伴いJ2降格の枠も減る。V長崎の先行きは、J2の行方によるかもしれない▲と、気になる話もあるのだが、正念場のここで、もう目移りはするまい。まっすぐ上を向き、猛然と追い上げる。その姿をV長崎は昨季、すでに示している。私たちも同じ目線で、力いっぱい声援を。(徹)

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