【熊本城のいま】「力合わせ1日も早く復旧を」

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石にノミを当て、金づちでたたいて少しずつ削っていく石工の作業=8月31日撮影
「職人と力を合わせて、1日も早く復旧させたい」と話す石工の谷森翼さん=熊本市の熊本城

 熊本地震で被災した熊本城天守閣では、7月23日から始まった大天守石垣の積みなおしが進んでいる。北側の石垣は、ほぼ石が積み上がった。年末までには、大天守石垣の積みなおしが完了する。

 熊本城総合事務所と大林組熊本城工事事務所によると、現在、城内の石垣改修で新たに使う石の加工や積みなおしに携わっている石工は、県内の1人を含め大阪と長崎、岐阜から集まった計7人。このうち、中村石材工業(大阪市)の石工の谷森翼さん(37)は最も早く、昨年4月から参加している。

 谷森さんは天守閣と飯田丸五階櫓[やぐら]の崩落石の回収をはじめ、膨らんだりしていた部分の解体、大天守で使う新たな石の加工、積みなおしを続けている。ノミを石に当て、金づちでたたきながら削っていく作業は「石に触りながら少しずつ」。天守閣の石垣は明治や昭和など、部分的に積みなおされてきた経緯があり「石垣の面がすべて同じ時代の積み方じゃなかったり、(時代によって)石の加工が違ったりするので大変」と話す。

 3段目まで積み上げてうまくいかず、また最初からやり直し…という場合も少なくない。石工2人1組で、1時間に積めるのはわずか1個程度。地道で根気がいる作業が続く。

 21歳で入社。これまで大阪城や姫路城、東日本大震災で被災した仙台城などの石垣工事を経験した。熊本城の石垣の崩落を目の当たりにして、最初に思い浮かんだ言葉は「えげつない」。会社から熊本行きを命じられ「とうとうか…」と腹をくくった。石垣は解体した石工が積みなおしまで担当するのが常識であり、長丁場になることが予想されたからだった。

 大阪府富田林市の自宅で暮らす妻(37)と16歳、13歳、4歳の3人の娘と離れて、単身赴任。「いろんな職人さんと力を合わせて、1日でも早く復旧させたい」と笑顔を見せた。(飛松佐和子)

(2018年9月14日付 熊本日日新聞朝刊掲載)