【MLB】岩隈久志にマリナーズ盟友から惜別の声続々 “キング”は「偉大な男」と敬意

今季限りでの退団が決定した岩隈久志【写真:Getty Images】

地元ラジオ局が公式サイトで特集を展開

 今季限りでの退団が決まったマリナーズの岩隈久志投手。圧倒的な制球力と宝刀スプリットを武器に、2012年の移籍以来メジャーで63勝39敗2セーブ、防御率3.42の成績を残し、2015年にはノーヒットノーランの偉業を達成した。“クマ”の愛称で親しまれた日本人右腕の退団をチームメートは惜しんでいる。地元ラジオ局「ESPNラジオ・シアトル」公式サイトが伝えている。

 打者は気が付いた時には打ち取られた後、という投球術から「催眠術師」の異名を執った日本人右腕の実力に、チームメイトは最大限の賛辞を送った。

「自分がクマについて初めて聞いたのは、エリック・ウェッジ(元監督)の家を訪れた時だったんだ。優秀な投手を獲得することになると、ウェッジ監督は話していた。どうなるか注目していたんだけど、最高に上手くいったね」と語ったのは、カイル・シーガー内野手。触れ込み通りの実力者だったと振り返っていた。

 エース右腕フェリックス・ヘルナンデス投手は楽天からの移籍1年目、2012年を忘れられないという。

「自分が覚えているのは、彼が15日間ブルペンで一度もボールを投げなかったこと。そこから1イニングだけ投げただけで、ローテーション入りを果たした。その後はまさしく非常に素晴らしい活躍をしてくれた」

 2012年、岩隈は開幕15試合目の4月20日のホワイトソックス戦で中継ぎとしてメジャーデビュー。先発ローテ入りしたのは7月に入ってからだったが、後半戦は15試合に先発し、防御率2.50という驚異的な成績を残した。

女房役務めたズニーノ「狙ったところから半インチ以上外すことはない」

 先発ローテの1番手・2番手コンビを組んでいたヘルナンデスは、岩隈とよく会話したことを明かし、「彼はメンタルも最高だ。ピッチングを熟知している。彼の流儀を持ってすれば、打者が誰であれ抑えられる。スーパースターだけど、そんなことを気にも留めず、打者をひたすら打ち取る。最高のチームメイトで偉大な男だ」と絶賛したという。

 そして、翌2013年にはア・リーグのサイ・ヤング賞で3位に選出される活躍を見せた。女房役を務めたマイク・ズニーノ捕手は「自分は2013年の途中に昇格して、何度も彼とコンビを組む機会があった。いかにボールを自在に操り、スプリットを使うのか。僕は驚嘆したよ。狙ったところから半インチ以上外すことは全くなかったんだ」と、その精密機械ぶりに感心しきり。同時に「他の投手と組んでいる時に、彼らにどんな球を投げさせればいいのかを教えてくれたのも彼だった」と、岩隈の球を受けることで捕手としての幅が広がったことにも感謝した。

 スコット・サービス監督は岩隈の精神力を称えていた。「クマは戦士だ。それは間違いない。立ち上がりを見て『なんてことだ、今日は調子が良くないみたいだ。どうやって切り抜けるんだ』という試合もある。それでも、彼は活路を見出す。感覚を掴みながら、相手打線に対して策を練り、大事な場面でしっかり抑える。クマは本当にピッチングを知っているんだ」と振り返っている。

 チームメートに愛された男、岩隈。仲間たちが最敬礼を送る中、今季限りでシアトルを後にする。(Full-Count編集部)

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