社説(9/15):自民総裁選/論戦 これで打ち止めなのか

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 中盤戦に入ってようやく本格化したが、まだまだ物足りない。投開票まで5日となった自民党総裁選の論戦だ。

 きのう、連続3選を目指す安倍晋三首相(63)=党総裁=と石破茂元幹事長(61)が直接意見を戦わせる初めての討論会があった。

 北海道地震への対応を優先し、選挙活動は告示の7日から3日間自粛。10日は共同記者会見で両氏が公約を語ったものの、首相のロシア訪問で中断した。実質的な論戦は始まったばかりだ。

 討論会では首相の政権運営や両者が掲げる公約について、応酬を繰り広げた。

 首相は森友、加計学園問題に関し「国民の疑念は当然。謙虚に丁寧に政権運営に当たる」と述べた。石破氏は「民主主義が機能するには、不都合な情報でも包み隠すことなく発表し、誠実に説明することが必要」と注文を付けた。

 地方創生では石破氏が「東京や大企業の成長の果実が地方に波及する考えは取らない」とアベノミクスを批判。首相は地方の経済指標が改善したことを挙げ「どこに問題があったのか」と反論した。

 憲法9条への自衛隊明記を主張する首相は「戦後70年、一度も行えなかった憲法改正に挑戦する」と改めて意欲を示した。石破氏は「(自衛隊明記案は)本質をきちんと改正しないまま、書けばいいでしょということではない」と憲法観の違いを鮮明にした。

 首相は政権不祥事に関し従来の説明を繰り返す場面があったものの、争点は一層明確になった。事実上の首相選びで、こうした討論が多く設けられていないことは残念だ。

 何よりも自民党の姿勢が解せない。総裁選管理委員会は公示前、新聞・通信各社に「公正・公平な報道」を求める文書を送った。インタビューや取材記事、写真、掲載面積などに関し各候補者を平等に扱うよう求める内容だ。各都道府県連に対しては、報道機関から寄せられたアンケートなど取材への対応を自粛するよう求める文書を出した。

 公職選挙法で報道にしばりのある国政選挙などと違い、総裁選は政党の代表選びだ。「公正・公平」を求める根拠はなく、全くの的外れだ。

 党選管主催の街頭演説会が東京都内で開催されないことも異例だ。北海道地震で延期となり石破陣営は17日開催を求めたが、首相陣営は19日を提示。同日は党員投票の締め切り日で石破陣営が反発し、折り合いがつかなかった。

 石破氏が求めていた政策テーマごとの討論会も見送られた。優位に立つ首相陣営が討論を避けているようにも映り、選挙戦の運営が不適切との印象を抱かざるを得ない。

 20日の投開票までに仙台市など全国4カ所で演説会はあるものの、討論会の予定はない。論戦を打ち止めにしてはならない。政権与党として、さらに突っ込んだ討論の機会を設ける努力をすべきだ。