「やると決まったら…」 ハム鶴岡、葛藤の中での2打点「結果を残すのがプロ」

日本ハム・鶴岡慎也【写真:石川加奈子】

2本の適時打に好リードでも勝利に貢献、栗山監督も「さすが」

■日本ハム 4-3 オリックス(14日・札幌ドーム)

 日本ハムは14日、オリックスに逆転勝ちした。北海道胆振東部地震後初の本拠地での試合。鶴岡慎也捕手が勝ち越し打を含む2本の適時打を放った。

 気持ちで運んだ。清宮の押し出し四球で同点に追いついた直後の4回1死満塁。カウント1-0から内角球を振り切った打球は詰まりながらも中前に落ちる。栗山英樹監督は「ここ一番の難しい場面でさすが」と舌を巻いた。

 6回1死三塁の場面では内角低めの難しいボールを詰まりながら左前へ。「気持ちで打つことはあまりないですが、今日は気持ち1本で打ちました。ファイターズの選手たちはいろんな思いを背負ってやっています。勝利を見てもらって元気を出してもらいたいので、落ちて良かったです」と37歳のベテランはうなずいた。

 守りでも先発のロドリゲスを好リード。最終回は2点を失ってなおもピンチを背負った守護神の石川直の元に何度も駆け寄り、叱咤激励して逃げ切った。

 6日未明の地震発生時は札幌の自宅にいた。その後、仙台で2連戦、千葉・鎌ヶ谷で練習と遠征が続き、自宅に残してきた家族のことが「心配だった」と打ち明ける。照明を間引きする形で行われたとはいえ、北海道内で節電が呼びかけられている中で試合をすることに対しても葛藤がなかったわけではない。

「電気をガンガンつけてやっていいのかなとか、いろんな思いがありましたけど、やると決まったら、どういう状況でも結果を残すのがプロ野球選手。まだ生活がままならない中で来てくれた人のためにも勝てて良かったです」と少しだけ表情を緩めた。

 安堵している余裕はない。首位の西武と2位のソフトバンクが好調で差がなかなか縮まらないからだ。「上の2つが負けないので、僕らも全部勝つつもりでやっていきたいです」と残り20試合に懸ける思いを口にした。(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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