3.5ゲーム差で迎える鷹との天王山 西武は悲願達成へ「左腕攻略」がカギか

西武・辻監督(上)、ソフトバンク・工藤監督【写真:荒川祐史】

10年ぶりの優勝へ、運命を決めるソフトバンク3連戦

 シーズンも最終盤に突入し、10年ぶりの「優勝」が現実味を帯びてきた西武。しかし、9月15日からは2位・ソフトバンクとの3連戦が待ち受けている。ここまで8勝10敗と負け越しているだけに、このカードの結果が西武の運命を決めるだろう。

 この「天王山」を前に、西武が必ず対処しなくてはならない問題は「左投手」である。リーグ屈指の攻撃力を誇る獅子打線だが、左投手相手にその勢いを封じられる場面が多々見られた。

 実際に、8月の月間MVPを獲得した中村も左投手相手の打率は.141と、明確な課題を残している。そこで今回は、まずソフトバンクの「要注意左腕」を紹介した上で、西武の取るべき対策について考えたい。

◯ソフトバンクの要注意左腕(成績は対埼玉西武のもの)
大竹
2試合1勝0敗 14回1/3 7奪三振 7失点 防御率4.40 
ミランダ
1試合1勝0敗 8回2/3 8奪三振 1失点 防御率1.04

 まずは先発陣から。育成出身ルーキー・大竹はプロ初登板でいきなり西武打線を8回2失点に抑え込み、プロ初勝利を手にした。2度目の対戦となった8月26日の試合では5点を奪ったが、結果的に黒星をつけることはできず。大竹自身だけでなく、その後を受けた右投手を打ったことで記録された点も含まれるため、決して油断はできない。

 そして、最も警戒しなくてはならないのは、新外国人ミランダだ。8月25日の前回対戦では、8回まで無安打に抑え込まれたことは記憶に新しい。ローテーションの再編によって2度目の対戦となる可能性が高く、その存在は乗り越えなくてはいけない「壁」として獅子打線に立ちはだかるだろう。

救援陣の左投手の布陣は…、西武打線は浅村と秋山がキーマンか

 続いて、救援陣に控える主な左投手を挙げたい。

嘉弥真
6試合0勝1敗2ホールド 3回 2奪三振 1失点 防御率3.00
モイネロ
5試合0勝0敗1ホールド 4回 6奪三振 1失点 防御率2.25

 救援陣にも強力左腕が名を連ねる。嘉弥真は、ここまで55試合に登板しながら防御率は驚異の0.98。右打者からの被打率も「0」という球界を代表する左投手に対して、打線がどのように立ち向かうかは大きなカギを握るだろう。

 さらに、9月12日付で再昇格を果たしたモイネロも要注意だ。ここまで防御率は4点台と苦しい投球が続いていたが、西武に対しては防御率2.25と好相性を見せる。先述した先発陣とのリレーはなるべく避けたいところだ。

 ここまでの内容を見ると西武がやや不利に見えるかもしれないが、間違いなく希望の光はある。まず期待したいのは、キャプテン浅村だ。ここまで打率.315、108打点と主軸としての役割を全うしている浅村は、西武打線の「左キラー」の1人だ。

 右投手に対しても打率.310と十分に打っていると言えるが、左投手からは打率.333を記録。8月25日のミランダからも、無安打に抑えられていた9回表に意地の適時打を放っているだけに、難敵攻略に大きな期待がかかる。

 さらに、左右を苦にしないという点では、やはり秋山に期待しないわけにはいかないだろう。同じく25日に、ミランダからノーヒットノーラン阻止の安打を放っているだけでなく、嘉弥真からは12球団で唯一本塁打も記録している。左打者の秋山だが、優勝のためにはやはりその力が不可欠だ。

 3連戦を前に、ソフトバンクとのゲーム差はわずかに「3.5」。ソフトバンクは、万全の投手陣で西武に挑むだろう。苦しい戦いになることは間違いないが、本拠地・メットライフドームで弱点克服となれば、「優勝」の2文字が大きく近付くことになる。所沢に詰めかけたファンは、獅子打線が奮起することを信じている。(「パ・リーグ インサイト」吉田貴)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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