「ゴルフを嫌いになった時もあった」 香妻琴乃が8年目のツアー初優勝で涙

激闘を制した香妻琴乃 念願の初優勝に涙を流した(撮影:村上航)

<マンシングウェアレディース東海クラシック 最終日◇16日◇新南愛知カントリークラブ 美浜コース(6446ヤード・パー72)>

「マンシングウェアレディース東海クラシック」は、香妻琴乃の涙で幕を閉じた。首位と3打差の10位タイからスタートした香妻は、8バーディ・ノーボギーの「64」をマーク。1打差に実力者がひしめき合う、し烈な優勝争いを制し、トータル15アンダーでツアー初優勝を果たした。プロ入りから今年で8年目。将来を嘱望(しょくぼう)され続けた26歳が大輪の花を咲かせた。

歓喜の瞬間は、プレーオフへの準備をしていたパッティング練習場で迎えた。1打差に迫り最終18番を迎えていたアン・ソンジュ(韓国)が3mのバーディパットを外して優勝が決まると、近くにいた松村卓キャディと抱き合い、喜びを分かち合った。付けていたサングラスを外すと、そこには泣き崩れた顔が。ここまでの苦しさがこみ上げ、涙となった。

3打差からの逆転を狙った最終日は、まさに会心のラウンドだった。「昨日は苦しんだけど、今日はだいぶ良くなった」というパットがさえわたり、1番で5mを決めてバーディを奪うと、そこから30cm〜4mのチャンスを次々と沈めていった。「決まるまでは集中力を切らさずにしようと思って、優勝を意識したことはなかった」と目の前のプレーだけを考えた。ホールアウト時点で、後続は残り3組。1打差の岡山絵里、新垣比菜や、一度は終盤に追いつかれたイ・ミニョン(韓国)、そして猛追してきたアン・ソンジュ(韓国)と強者がすぐ後に迫っていた。「絶対にプレーオフになると思っていました」。優勝が決まる瞬間まで、気が休まることはなかった。

「ゴルフが嫌いだった時もありました」

優勝後の会見で、そう口にした香妻。最初は「優勝しても泣くつもりはなかった」と心に決めていたが、ともに喜んだ松村キャディから「ゴルフをやっていてよかったね」と言われた瞬間、その決意は吹き飛んだ。「そう言ってもらえて、優勝できる日が来たことが、すごくうれしかったです」。

2014年には賞金ランク19位となり、初シードを獲得。一気に人気選手の一人となった。しかし、その年に腰痛を患い「寝返りも打てないし、歩けない。咳をするだけでも痛む」という状態に陥った。翌年は賞金48位でシードを守ったものの、16年にはシードから陥落するなど、痛みを怖がり練習量も落ちたことで極度のスランプに陥った。昨年末のQTランクは104位。今シーズンは出場試合の確保もままならない状況からのスタートとなり、4年ぶりにステップ・アップ・ツアーでも戦った。

そんな状態だっただけに、初優勝を決めた後も口から出てきた言葉は「後半戦に出られることが嬉しい」。この優勝で、1年間のシードを確保したことにまずは胸をなでおろした。今年も「Tポイントレディス」を腰痛が原因で棄権。今も完治には至っていないが「痛みが出たら治せばいい」と必死のトレーニングを重ね、この日の勝利をつかみとった。

「まだ1勝しただけです。これで最終戦(LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ)にも出られる。(出身の日章学園高校がある)宮崎でやる試合だし、メジャーでも勝ちたいです」

今大会はウェイティングからの出場だった。申ジエ(韓国)が欠場したことで回ってきたチャンスを、見事につかみとり、同年のツアー優勝者や、大会前週までの賞金ランク25位までの選手などしか出場が叶わない大会への出場も決まった。ここでの戦いは、これまでの立場を一変させる、あまりにも大きな意味を持つ一戦となった。(文・間宮輝憲)

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