博物館で発見された新種植物、既に絶滅の可能性高く 神戸大学の研究

1992年に発見された際の「コウベタヌキノショクダイ」。発見時はタヌキノショクダイ属だとは明らかになっていなかった。(画像:神戸大学発表資料より)

 「兵庫県立人と自然の博物館」に保管されていたタヌキノショクダイ属の菌従属栄養植物の標本が、新種であり、また同時に既に絶滅している可能性が極めて高いことが、神戸大学の研究によって明らかになった。同種は「コウベタヌキノショクダイ」と命名された。

 該当の植物は、1992年に神戸市でわずかに1個体のみが発見されたもの。ホシザキシャクゾウ属に分類されるヒナノボンボリ(こちらも非常に珍しい絶滅危惧種の菌従属栄養植物)であると考えられ、タヌキノショクダイ科に属するものであるとは気付かれず、標本にされて保存されていた。

 その後、1993年から1999年にかけても調査は行われたが、追加の個体が見つかることはなかった。そして、1999年、おそらく自生地であったろうと考えられる場所が開発によって消滅してしまったため、絶滅した可能性が高いという。

 菌従属栄養植物は主に森林などで暮らす、光合成を行わない特殊な植物である。あまり地上部に露出することがないため、発見するのが難しく、恐らくはまだ数多くの未知の未発見種が存在しており、また同時に、その多くが絶滅に瀕しているものと目されている。今回の一連の出来事から、未知の菌従属栄養植物が人知れず絶滅している可能性はさらに強く示唆されることになったといえる。

 ただ、わずかな可能性としては、これまで既知種と混同されて見落とされていたコウベタヌキノショクダイがどこかに現存していて、再発見される可能性もまったくないわけではない。それが期待されるところではある。

 今回の研究成果は、生物多様性の正確な把握のために、標本の把握がいかに重要であるかを改めて浮き彫りにするものとなった。なお、本研究成果は、9月13日に国際誌「Phytotaxa」に掲載された。

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