閉園保育所を醤油蔵に 能登町の数馬酒造、来春から仕込み

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 8年前に閉園した能登町鶴町の旧神野(かんの)保育所が来年春、醤油(しょうゆ)蔵として活用される。同町宇出津の数馬酒造が空き施設の活用を町に提案し、土地と建物の貸し出しが決まった。町によると、空き施設を民間企業に貸し出すのは町内では珍しいケースで、同社は藩政期から続く伝統を守り、町は空き施設の利活用のモデルとする。

 数馬酒造は、1869(明治2)年に始めた酒造りの以前から、醤油を造っていた。幕末ごろに建てられた宇出津の蔵の老朽化が進んでいた上、移転新築される能登町役場の新庁舎予定地とも重なったため、移転先を町と協議していた。

 神野保育所は、少子化のため2010年3月に閉園し、土地と平屋建ての建物は町が管理してきた。部屋数や広さが醤油蔵の条件と合致し、町は同社と昨年6月に賃貸契約を結んだ。

 同社は、職員室を米こうじを造る部屋とし、厨房に大豆を蒸す装置を設ける計画で改装を進めている。保育室には、もろみを入れる高さ1・5メートルの木桶を並べる予定である。園児用の低い棚やクラス名が書かれたプレートなど、保育所の趣を伝える品は残す。

 しょうゆ造りには、志賀町の耕作放棄地で育った米や小麦、大豆を使う方針で、来年春から旧神野保育所で仕込みを進める。数馬嘉一郎社長は「地域の資源をよみがえらせ、生かしていく活動をどんどん推進していきたい」と話した。町の担当者は「能登の食材を使って地元の新たな名品を造る場所になってほしい」と期待した。