原発避難への賠償の在り方は 横浜でシンポ

 脱原発の道筋について考えるシンポジウムが16日、横浜市港北区で開かれた。東京電力福島第1原発事故と司法の関わりなどについて、脱原発の立場からパネリストらが意見を交わした。

 シンポジウムは「脱原発市民会議かながわ&ハーベストムーンLIVE」(同実行委員会主催)の一環で開催された。「司法の正義と原発事故」をテーマに、元裁判官や大学教授、国や東電に損害賠償を求める訴訟を行っている原告団長らがパネリストとして登壇。約140人が耳を傾けた。

 福島第1原発事故の影響で、福島県から神奈川県に避難してきた60世帯175人が国や東電に慰謝料など総額53億9千万円余りの損害賠償を求めた訴訟で原告団長を務める村田弘さんは、来年2月の判決言い渡しを見据え、「国と東電の法的責任を明確にする」と訴訟の意義を説明した。同様の訴訟で、裁判所は国や東電の責任を認める一方で、賠償額を低く抑える傾向がある点に触れ、「生活を根底から奪われて、先の見通しが立たない原告にとっては微々たる額になっている。横浜地裁の判決では、原告にとって現実的な額を示してもらいたい」と訴えた。

 金沢地裁で2006年、北陸電力志賀原発2号機(石川県)の運転差し止めを言い渡した元裁判官の井戸謙一弁護士は、村田さんが指摘した賠償額に関し、裁判官当時の経験を踏まえ、「特に避難指示区域外の避難者への賠償額が極端に低い。現状のおかしい点を指摘するのが司法の役割だ」と強調した。

「司法の正義と原発事故」をテーマに行われたシンポジウム=横浜市港北区のスペース・オルタ

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