【平成の長崎】さよなら食堂車 ブルトレ「さくら」東京へ最後の旅 平成5(1993)年

食堂車最後の運行となった寝台特急「さくら」

 東京と長崎を結ぶ夜行寝台特急「さくら」の食堂車が3月18日を最後に営業を終えた。客の減少には勝てずこの日のダイヤ改正とともに去ることに。最後の営業として同日午後5時5分、駅関係者や鉄道ファンらに見送られて長崎駅(長崎駅尾上町)を後にした。
 「さくら」は昭和34年から東京―長崎間を走っており、食堂車は日本食堂(本社東京都中央区)が営業してきた。同日はコックの戸ケ崎実さんらスタッフが乗り込み、最後のお勤め。

移り行く景色を眺めながら食堂車最後の食事を楽しむ鉄道ファン=寝台特急「さくら」

 乗客はいつもより多め。長崎の鉄道ファンらでつくる長崎きしゃ倶楽部(田栗優一会長、25人)の会員、家族ら約30人も乗車。発車前には花束を贈ってスタッフの労をねぎらった。
 田栗会長は「何ともいえない温かさがあり、旅の味を満喫できる食堂車だった。なくなるのは残念。でも長い間ありがとう」と別れを惜しんだ。(平成5年3月19日付長崎新聞より)
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【平成の長崎】は長崎県内の平成30年間を写真で振り返る特別企画です。

食堂車最後の運行を記念したセレモニー

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