宇治・平等院が災害対策に力 地震・台風21号受け

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鳳凰堂の屋根瓦の落下に備え、7月下旬に配備された内部拝観者用の折り畳みヘルメット(宇治市宇治・平等院鳳凰堂尾廊)

 宇治市宇治の平等院が、6月の大阪府北部地震以降、災害対策に力を入れている。避難誘導を見直したり、落下物に備えてヘルメットを配備したりと内容は幅広い。大勢の参拝者が訪れる宇治観光の拠点だけに、関係者は「自覚を持ち、率先して対策に取り組みたい」と気を引き締める。

 平等院は大阪府北部地震では被害がなく、通常通り拝観を受け付けた。ただ、「揺れの衝撃は大きかった」ため、拝観経路にある平等院塔頭・最勝院の壁の瓦をすぐ固定した。

 災害時の対応マニュアルは十数年前の作成で形骸化していたという。職員らは7月初旬、地震時の危険箇所を鳳凰堂やミュージアム、集印所といったエリア別に洗い出し、避難経路や誘導方法を確認。それを基に防災訓練も行った。

 大地震時には鳳凰堂の屋根瓦が落下する危険性もある。内部拝観者用の折り畳み式ヘルメット50個余りを阿弥陀(あみだ)如来坐像後方の尾廊に備え、災害時は案内職員が取りに行く。

 震度5弱以上の地震が起これば、鳳凰堂内部拝観の受け入れを停止し、安全確認する。雷の接近時も現場判断で内部拝観をやめる。

 今月4日に近畿を直撃した台風21号では、3日に災害対策を議論し、翌日の内部拝観中止を決めた。事務局の宮城沙紀さん(30)は「職員間で話し合いを重ねることで防災への意識が高まり、中止の判断や告知もスムーズにできるようになった」と手応えを語る。

 平等院には年間100万人以上が訪れ、約2割が訪日外国人客という。ミュージアムやパンフレットの多言語化を積極的に進め、職員は通常の案内を英語や中国語で行えるが、「有事の際のとっさの対応が今後の課題」と宮城さん。台風21号時は電車の全面運休が予告される中でも訪れる外国人がいて、帰りが心配になった。「日本人なら当然知っていることでも海外の人はそうではないと想像力を働かせ、積極的に情報を伝えたい」と話す。

 避難施設への誘導など市や関係団体との連携も欠かせない。宮城さんは「宇治に来て良かった、と思っていただきたいのが根本にある。そのためには魅力のPRだけでなく、もしものときの対応を積極的に考えていく必要がある」と強調する。