J2水戸、昇格の道開くか 月末にJ1ライセンス結果

悲願目標に奮起期待

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新しい練習拠点「アツマーレ」で汗を流すJ2水戸ホーリーホックの選手たち=城里町小勝

サッカーJ2水戸ホーリーホック(沼田邦郎社長)が6月に申請したJ1クラブライセンス取得の審査結果が9月末に発表される。クラブライセンス制度の導入以降、「J1昇格」を目標に掲げることができなかった水戸は、紆余(うよ)曲折を経て悲願に向けたスタートラインに立ちつつある。J1ライセンスを取得し、終盤戦で奮闘する選手らの士気向上につなげたいところだ。(報道部・藤谷俊介)

■紆余曲折

Jリーグは2013年、クラブライセンス制度を導入した。前年の12年に審査が行われ、水戸は本拠地ケーズデンキスタジアム水戸の収容人数がJ1基準の1万5千人以上を満たさないため、J2ライセンスの交付が決定した。たとえリーグ戦で昇格の順位条件を満たしたとしても、J1昇格は不可能になった。

水戸は当初、同スタジアムの客席増設によるJ1ライセンス取得を目指した。水戸市と協議し、13年9月には高橋靖水戸市長が観客席を増設する考えを明らかにした。しかし、増設に必要な用地買収が難航し、実現のめどは立っていない。

17年春、かつての本拠地、笠松運動公園陸上競技場が19年茨城国体に向けた改修でJ1基準を満たすことが判明。水戸は暫定的な本拠地移転を水戸市に打診した後、県や同競技場が立地するひたちなか市、那珂市、東海村と協議し、移転の了承を得た。

沼田社長は今年1月、新体制発表の場で「J1ライセンスを取ります」と宣言した。

■2パターン申請

「水戸ホーリーホックなので、水戸をホームにできないのは問題だと認識している」。沼田社長は苦しい胸中を明かした。その思いから今回のライセンス申請は、J1昇格の順位条件を満たす場合のみ笠松運動公園陸上競技場に移転し、順位条件を満たせなかった場合はケーズデンキスタジアム水戸にとどまるという、前例のない2パターンを提示して行い、Jリーグの理事会を通過した。

高橋市長は8月末、「用地買収せずに観客席を増設できないか検討に入った」と表敬訪問した沼田社長に話した。市は「(用地買収に向け)現在進行中」(体育施設整備課)と説明しつつ、同時に新たな打開策の模索を始めたとみられる。

沼田社長は、笠松移転は暫定的なものにとどめたい考えで、「ケーズデンキスタジアム水戸が駄目なら、新設のスタジアムを(水戸に)つくる機運をつくりたい」とも話した。

■基準が壁に

同制度は昨年、物議を醸した。昨季J3で優勝した秋田がJ2ライセンスがなく、昇格できなかったからだ。また、現在J2町田はリーグ戦でJ1自動昇格圏にいるが、J1ライセンスを持っていないため昇格は不可能。このままでは2年連続で“悲劇”が起きるかもしれない。

スタジアム収容人数のJ1基準は1万5千人以上、J2は1万人以上が絶対条件となる。Jリーグ広報部は「ホーム試合が年間約20試合しかない中、クラブの収入を考えると基準の収容人数が必要」と説明する。しかし、順位条件より強い拘束力を持つこの基準に、リーグ内部や加盟するクラブからは疑問視する声が上がっている。

沼田社長は「昇格と降格は競技力で争われるべき」と強調。水戸としてはJ1ライセンスを得て、終盤戦で奮闘する選手の背中を後押ししたい考えだ。今年は新クラブハウスの運用も始まり、細川淳矢主将は「今は全てがそろった中で、自分たちがやるだけなんだという危機感を持っている」と気を引き締めている。

★クラブライセンス
2013年に導入されたJリーグの資格制度。「競技」「施設」「人事組織」「法務」「財務」の5分野56項目を審査し、基準に応じてJ1またはJ2ライセンスが認められる。審査は毎年行われ、昨年はJ1ライセンスが40クラブ、J2ライセンスが7クラブに交付された。