九電、全域停電「可能性低い」 発電所各県に分散、本州からも供給可

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県内最大の出力を持つ九州電力苓北火力発電所=苓北町

 最大震度7を観測した6日未明の地震で、北海道のほぼ全域が一時停電した。国内初の「ブラックアウト」と呼ばれる事態で、暮らしや経済に深刻な影響が広がっている。九州でも同じ事態に陥る恐れはないか。九州電力は「絶対ないとは言えないが、可能性は低い」と説明する。北海道と比べて、発電所が多く、立地も分散しているためだという。

 電力会社は通常、天候や時間帯による電気の使用量の増減に合わせ、各発電所の発電量を調整している。地域全体の需要と供給が釣り合っていないと発電機の回転数が乱れ、設備が壊れる恐れがあるからだ。需給のバランスが崩れた場合、故障を防ぐため、発電所は自動停止する仕組みになっている。

 北海道電力で起きた大規模停電が、まさにこれだった。引き金となったのは道内最大の苫東厚真火力発電所(厚真町)の緊急停止。同発電所は出力165万キロワットで道内の電力需要の約半分を賄っており、緊急停止で供給が一気に減ったため、ほかの発電所が連鎖的に止まった。

 一方、九電の場合、発電所は各県に分散し、県内最大の苓北火力(出力140万キロワット)をはじめ、100万キロワット以上の火力と原子力が7カ所に立地する。全体の供給力1920万キロワットに対し、最大の新大分火力(大分市)でも280万キロワットと割合は約15%。北海道のような一極集中の供給態勢にはなっておらず、「急激な需給バランスの崩れは起きにくい」という。

 さらに九州には本州と結ぶ送電線の関門連系線があり、最大278万キロワットの電気を融通し合うことができる。2012年2月に、新大分がトラブルで停止した際は九州外の電力会社から供給を受け、停電を免れた。

 その後、当時停止中だった川内原発(鹿児島県薩摩川内市)と玄海原発(佐賀県玄海町)も、相次いで再稼働した。九電は「電源構成もバランスが取れ、より安定供給しやすい状態」と北海道との違いを指摘する。

 ただ、九州では別の懸念が浮上している。日照条件の良さなどから他地域に比べて太陽光発電の普及が進み、逆に供給が過剰になることだ。特に冷暖房の需要が減る春や秋の昼間は、発電量が使用量を大きく上回る恐れがあるという。

 九電はこれまで、火力の出力を下げたり揚水発電所で水をくみ上げて電気を使ったりして需給のバランスを保ってきた。しかし、「それだけでは対応が難しくなった」として、月内にも太陽光発電の一部を一時停止する「出力制御」に踏み切る可能性がある。(福岡支社・小林義人)

(2018年9月18日付 熊本日日新聞朝刊掲載)