【現場を歩く】〈配管機材のイシグロ・大阪ステーション〉西日本拠点へのバックヤード機能 徹底した自動化推進、作業効率大幅向上

 総合配管機材商社イシグロ(本社・東京都中央区、社長・石黒克司氏)の大阪ステーション(大阪市大正区)は、同社西日本営業拠点のバックヤード機能を担うため、昨年10月に拡張移転した。仕分けや搬送など徹底した自動化を推進し、省人・効率化を徹底している。同社が推進するオリジナルブランド「アイバリュー(I Value)」商品の拡販、受注受付時間を大幅に拡大した「即行便」サービスや「イシグロ・ウェブステーション(Ishiguro Web station)」に対応するため、さらなる進化を目指す。(後藤 隆博)

 大阪ステーションは、延床面積は1万330平方メートルの鉄骨4階建て。従来のヤードに比べて面積は約4倍となり、同社在庫拠点としては最大規模となる。バルブ・継手・鋼管を中心に約1万3千アイテムを在庫し、西日本の営業拠点へのバックヤード機能を担う。これまで、全国営業拠点のバックヤード機能は東京ステーション(千葉県習志野市)がメインで対応してきた。バックヤード機能を東西2拠点体制にすることで、全国各ユーザーへの供給体制が大幅に強化された。

 スタッフは専属配送ドライバーを含めて42人で、うち23人が倉庫業務にあたっている。平日・土・祝日は午前7時~午後6時まで、日曜日は午前7時~午後3時まで稼働。注文は午前8時30分~午後6時30分までの電話受付のほか、土日祝日は同社コールセンターでも対応している。営業時間外の注文は、同社のネットオンラインストア「イシグロ・ウェブステーション」からも可能だ。

 1階は事務所スペースと鋼管倉庫、入出荷バース、屋内トラックヤード。鋼管やガス管、ステンレス鋼管、ライニング冷媒被覆鋼管など常時700トンを在庫。切断、ねじ切り、グルービング、アングルの加工も手掛ける。

 マテハン機器(運搬や荷役など物流業務を効率化する作業機械)では、最新鋭のコンベア搬送機を採用。パイプ以外の継手やバルブなどケース系アイテムを在庫している4階、バックヤードの3階をつなげた自動搬送装置で、複数階層の非効率を最小限にとどめる。降りてきたコンテナはバーコードリーダーによる自動仕分けで12本のコンベアシューターに分類。それぞれのトラックに搬入される。

 トラックヤードには、トラックの荷台とプラットフォームの段差を調整するドッグレベラーを設置。フォークリフトの直接乗り入れが可能になった。

 重量物やあまり回転率のよくないアイテムの在庫用に、166パレットを収納する自動ラックを設置。天井付近の空間を有効活用するとともに、台車型傾斜式流動棚「グラビティカート」を採用することで、1分以内に出し入れを行うことができる。

独自新サービスへの対応強化/PB商品拡充、在庫ヒット率向上にも注力

 2階はラウンジになっており、普段は社員が昼食や休憩場所として利用しているほか、セミナースペースとしても利用可能。正面の壁がホワイトボートになっており、直接文字が書ける。来年は、同社関西地区の新人研修セミナーを行う予定。また一カ所で座学研修と実際の商材を見学できるため、取引先からは「中堅社員のセミナーや新商品発表の場に使いたい」などの要望が複数来ているという。

 3階はバックヤード。現在は、協力会社やグループ会社に在庫スペースを貸しており、休日はイシグロがピッキング作業などを行っている。4階は継手・バルブなどの在庫専用フロア。東日本地域のバックヤード機能を担う東京ステーションと同じラインアップをそろえる。メーカー・アイテムごとにラックが細かく分類しており、誤ピッキングを防止。また、倉庫内には荷重積載量3100キロの搬出入エレベーターを設置している。

 大阪ステーションは、他在庫拠点の作業効率面での課題を考慮した上で昨年10月に立ち上げた。スタッフ全員がイメージを共有したことで、これまでに目立ったシステムエラーはなく、順調に稼働している。新拠点の使い勝手の良さから、配送ではなく顧客の引き取りニーズは、以前の3~4倍に増えた。

 イシグロは前中計期間中に、独自に調達した高品質製品、PB商品、加工サービスまでを網羅した新ブランド「アイバリュー(I Value)」、土日祝日の受注受付時間を大幅に拡大した配送サービス「即効便」、ネットオンラインストア「イシグロ・ウェブステーション」の新サービスを開始。今中計では、さらなる進化を目指している。大阪ステーションも、今後この三つの新サービスへの対応強化が課題となる。

 細かな顧客データ抽出による在庫ヒット率を上げるほか、「アイバリュー」製品の在庫を拡充。また、顧客のニーズによっては、東京ステーションで行っているバルブなどの禁油処理、自動弁組立、検査・品質管理などの「ラボラトリー機能」の追加についても検討していく方針だ。

 西日本エリア拡販戦略の重要拠点として、大阪ステーションは360日体制の物流拠点として稼働を続けていく。

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