高速道路、なぜ事前規制できない? 台風21号で横転相次ぐ

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名神高速道路上り線で横転したトラック(4日、東近江市)

 4日に京都・滋賀に大きな被害をもたらした台風21号では、名神や京滋バイパスなどの高速道路で、強風によるトラックの横転が相次いだ。気象台は事前に暴風への警戒を呼び掛けており、危険は予想できたはずだが、なぜ横転事故が相次ぐ前に通行規制をしなかったのか。専門家は「物流への影響は大きいが、安全第一で考えるべき」と指摘する。

 高速道路の通行規制は、府県警とネクスコ西日本、ネクスコ中日本などの管理会社が協議して決める。

 京都府警と滋賀県警の高速隊によると、4日午後2時すぎごろ、名神高速彦根IC(インターチェンジ)-八日市IC間でトラック5台が横転。京滋バイパスで午後2時ごろにトラック13台が、北陸自動車道の木之本IC付近でもトラック1台が横転した。いずれも強風のため低速で走行していたり、停車していたりした。複数のドライバーが軽いけがをした。

 この事故を受け、4日午後2時15分から名神高速の彦根IC-八日市IC間は通行止めになった。京滋バイパスは同55分から瀬田東JCT(ジャンクション)-大山崎JCT間、北陸道は同45分から米原IC-武生IC(福井県)間で、いずれも強風のため通行止めになった。

 京都、彦根の両地方気象台によると、台風21号が京滋に最も接近したのは4日午後2時~3時ごろ。最大瞬間風速は、彦根市で午後2時13分に史上最大の46・2メートル、京都市中京区で午後2時34分に史上2位の39・4メートルを観測した。午前中には暴風域に入ることが予想されており、両気象台は前日3日から最大風速25メートル、最大瞬間風速35メートルを予想して警戒を呼びかけていた。

 予想の暴風は、車が横転したりする強さで、十分に危険は予想できたが、なぜ事前に通行止めを決められなかったのか。

 京都府警は「これ以上の走行は危険だと判断できれば規制する。経済的な損失を考えると、事前の規制実施は難しい」、滋賀県警は「何も起こっていない状態での規制は決断しづらい」とする。ネクスコ西日本は「関西空港連絡橋などを除いて、風による通行止めの基準はない」と話し、ネクスコ中日本は「最大風速20メートルを観測してから通行止めにするという基準があり、今回はそれに従った。ただ、社内で基準を見直すべきとの声もある」と説明する。

 強風に見舞われることが多い明石海峡大橋や瀬戸大橋などを管理する本四高速は、最大風速25メートルを観測した場合などに通行止めにしている。同社は「利用者の安全確保を重視しており、経済的影響を考慮してぎりぎりまで通行させるという意図はない」とした上で、「台風の進路予想は外れることもあり、事前の規制はしていない」とした。

 一方、JR西日本などの鉄道では2014年頃から、台風接近時には雨量や風速が基準値を超える前に、予告して運休する対策が広がっている。台風21号の際も、京滋再接近前の正午ごろまでにJR各線や大手私鉄が全面運休となった。

 交通工学を専門とする日本大学の小早川悟教授は「今回の台風21号のように影響が出ると分かっていれば、人命を優先した規制が望ましい」と指摘し、「物流への影響は避けられないが、物流会社は代替ルートを通ることや日程をずらすなどの対応を考える必要がある。今後も起こりうるため、前持った通行止めの是非を議論するべき」と提言する。