日立造船、国内製造業初のグリーンボンド発行

日立造船はこのたび、国内製造業として初となるグリーンボンドを発行すると発表した。償還期日は3年で、発行総額は50億円。発行は9月21日を予定している。同社は、ごみを燃料として電力を供給することができる、「ごみ焼却発電施設事業」を世界で展開している。今回のグリーンボンド発行で調達された資金は、焼却発電施設にかかる資材購入費用などの運転資金に充当する予定だ。(オルタナ編集部=中島洋樹)

これまで、ごみの焼却処理の際に排出される温室効果ガスをどうやって削減していくかが関係企業、団体の課題となっていた。

そんな中で、ごみ焼却の際に発生する熱を用いて発電を行う、ごみ焼却発電方式に注目が集まるようになった。発生する熱を用いることから、焼却処理のみを行うよりも、温室効果ガスの排出削減効果が期待できる。ごみを焼却してエネルギーに変換することから、ごみ焼却発電を導入することは循環型社会の構築に寄与すると言い換えることができる。

同社広報担当によれば、1965年に国内で初めて、ごみ焼却発電施設を建設して以降、現在までに、ごみ焼却施設として世界で443施設の納入実績がある。そのうち231施設で発電施設を備えているという。

発電施設では年間116万トンの温室効果ガス排出削減に貢献しており、これは、一般家庭約24万世帯が1年間に排出する温室効果ガスの量に相当するとのことだ。

今回のグリーンボンド発行により調達された資金は、グリーンプロジェクトと名付けられた国内2箇所の工事(京都市:京都市南部クリーンセンター第二工場、熊本県合志市:菊池環境保全組合新環境工場)の運転資金に充当される予定となっている。

同社が今回発行するグリーンボンドは国内製造業として初めての事例となる。主幹事は三菱UFJモルガン・スタンレー証券と野村證券が担当する。

同社広報担当は「今後のグリーンボンドの発行については、現時点で未定」としながらも、「ごみ焼却発電施設の導入推進で循環型社会の実現に向け貢献していきたい」と語った。

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