【東海地区鋼材流通・加工業】採算改善へコスト意識明確化の機運、重量などのエキストラ見直しも

再投資可能な環境目指す

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 東海地区の鋼材流通・加工業者の間で、加工賃の見直し機運が再び高まってきた。「過去のコスト意識で顧客に対応すると、まったく採算が確保できない」という事態が深刻化しているため。建築、工作機械、自動車などユーザー筋が堅調で、切断、ショット、穴あけといった加工業務がどこも満杯な現状を逃さず、コスト意識を明確にし、事業継続が可能な基盤を形成しようとする考えが、流通市場でますます広がってきそうだ。

 東海地区の鋼板加工業者。現在、加工ラインはほぼすべてフル操業。受注残も徐々に増えてきた。取引先に対し、納期調整などでお願いをするケースも増えてきた。採算も確保できている。

 しかし、同社で営業を統括する役員は、厳しい表情を崩さない。

 「まず、人件費が上がっている。人手不足で、派遣会社に支払う時給も2千円を超す。そして、ショット・ブラストや端面加工などに対するお客様の精度要求はますます高まっている。勢い、人件費のかかり方は10年前とはまったく異なっている」と表情が硬くなる。

 例えばショット加工の場合、トン数で単価をはじき出すと、板厚の薄いものが増えるほど採算が厳しくなる傾向がある。「板厚は異なっても、人手は同じようにかかる。表面積はさほど変わらないのに、重量によって加工賃のベースが左右されるなら、結局、板厚が薄いものほどエキストラを載せていかなければならない。だが、現場にそうした細かなコスト意識がなければ、いずれ採算が取れなくなる」とし「そうした部分での意識付け教育などが大切」とも語る。

 現状は加工母材も値下がりしているわけではなく、諸コストも値下がりする見込みはほとんどない。一方で「堅調な需要がいつまで続くかわからない」という気持ちもある。

 「10年前とは計算根拠、採算のステージが変わったと考えて、時代に即した適正な加工賃体系を構築していくことがどうしても必要」「新たな設備を入れてお客様のものづくりに貢献するためにも、再投資、安定供給ができるように、環境を整備することが重要で、今後お客様との会話を通じ理解を得たい」などの声が市場から漏れている。