【新日鉄住金グループ企業の〝今〟42】〈小松シヤリング〉建機向け厚板溶断、最新鋭機で高精度・高生産 レーザ加工比率向上推進

 建機向け厚板の溶断および二次加工を手掛ける小松シヤリングは、1969(昭和44)年3月、富士製鉄(現・新日鉄住金)と建機大手コマツが中心となって設立し創業した。

 当時はガス溶断とシャーリングを中心に手掛けていたが、その後はコマツの仕事を広げながら開先、穴あけ、曲げ、溶接など加工領域を拡充。

 2001年11月には油圧ショベル用バケットの製造を開始。溶断から溶接、塗装までワンストップで製作しコマツ粟津工場に納入した。

 加工設備では93年1月にレーザ切断機を、03年5月には世界初のツイントーチ型レーザ切断機を導入。現在はツイントーチ3基をはじめ最新鋭のレーザ切断機9基(計12トーチ)、NCガス切断機6基など厚板切断では北陸屈指の高精度・高生産体制を構築している。

 工場は二つ。能美工場では溶断を中心に曲げ加工と一部の二次加工を、本社・小松工場では溶接や開先など二次加工を中心に行う二拠点体制となっている。

 近年の販売重量は13年度(14年3月期)の5万4千トンをピークに、コマツ関連向けの納入量の減少などから16年度には4万3千トンまで落ち込んでいた。

 17年度(18年3月期)はコマツ向けの拡大でフル操業となり5万トンへ回復。増収増益で8期連続の黒字となった。

 18年度も建機向け切板需要が高水準を維持するとみられ、販売重量も5万3千トン程度と13年度並みへ上昇する見通しとなっている。

 近年取り組んでいるのはレーザ加工比率の拡大。切板のレーザ比率は65%に拡大しており、今後はファイバーレーザの導入も視野に1基のレーザ更新を検討している。

 牛尾社長は「建機向け需要は繁閑差が大きい。繁忙時はガスとレーザで生産能力の上方弾力性やピーク対応力を高め、閑散時は厚手材の切断もレーザに集約するといった下方弾力性を確保したい。人手不足や残業規制などの問題に対応した上で生産合理化、歩留まり向上を図っていく」とし、需要変動に対応できる安定した操業体制を築いていく考えだ。

 効率的な生産体制構築のため基幹システムの更新や作業実績のデータ化、構内物流の整流化などにも取り組んでいく計画。

 今4月には分散していた品質管理担当者を統合し「品質管理部」を新設。品質管理の徹底と責任の明確化を図った。「当社は来年で創業50周年を迎えるが、製造現場を持つ会社の使命は安全第一であり、今後も不断の努力を続けていく。その上で、新日鉄住金の高品質な材料を母材とする加工製品をお客様に提供することで『北陸の厚板シャーといえば小松シヤリング』と言っていただけるよう品質や納期対応にさらに磨きをかけたい」(このシリーズは毎週水曜日に掲載します)

企業概要

 ▽本社=石川県小松市

 ▽資本金=1億2千万円(新日鉄住金の出資比率85・4%)

 ▽社長=牛尾邦彦氏

 ▽売上高=91億円(18年3月期)

 ▽主力事業=建機向け厚板溶断および二次加工

 ▽従業員=220人(18年6月末現在)

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