昨年、一昨年、“本命”と評されながらインターハイを逃してきた悔しさが、決勝の舞台で燃え上がった。真っ赤なユニホームの長崎南山が、縦横無尽にコート内を疾走。「落ち着きました。本当にホッとした」という柴本監督の言葉に実感がこもった。
優勝候補筆頭で敗れたときの惨めさは、言葉では言い表せなかった。決して油断があったわけではない。「一からの出直し」という意味を込めて、監督以下全員が頭を丸めたこともあった。
この日のスタートも動きは悪かった。思うようにボールが手につかずイージーミスを連発。だが、厳しい練習で培った自信は揺るがない。陣内、末次の確実なポストプレー、田中の鋭いカットイン、徳永の3P…。磨きをかけてきた攻撃力で一気に逆転、再びリードは許さなかった。
卒業していった部員たちを含め、3年分の思いが詰まった“夏”への挑戦権。柴本監督は「ベスト8を目指したい」と目標を掲げた。だが、選手たちの狙いは、もう一つ上。田中主将は「先輩たちの分もある。ベスト4が目標です」と力強く言い切った。
(平成6年6月8日付長崎新聞より)
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【平成の長崎】は長崎県内の平成30年間を写真で振り返る特別企画です。