【平成の長崎】秋空にけまり舞う 京都の保存会が披露 平成5(1993)年

 蹴鞠(けまり)を継承している京都の蹴鞠(しゅうきく)保存会が11月3日、長崎市上西山町の諏訪神社で、蹴鞠の演技を披露、訪れた見物客が蹴り方の衣装と連続技に酔った。
 同保存会は国内で唯一、蹴鞠を守っている団体。京都の白峰神宮や平野神社などの大祭では定期的に演技を奉納している。同日、同市浜町の浜屋百貨店で開幕した京都の物産展「京都歴代のれん市」のPR役にと同百貨店が招いた。長崎での奉納は初めて。
 境内に4本のささ竹を立てて設けた広さ15㍍四方の鞠庭に、烏帽子に鮮やかな鞠袴(くずはかま)姿の蹴り方7人が入場。各人が鹿皮製の鞠(直径約18㌢、重さ約150㌘)の弾み具合や重さを確認、一人が「アリ」と掛け声。鞠を蹴り上げて演技開始。
 7人は鞠の神の名「アリ」「ヤ」「オウ」の掛け声を使い分け、息の合った連係プレーを披露。参拝客や見物人はそろって鞠の動きを目で追い、鞠が大きく宙に舞う度、感嘆の声を漏らしていた。(平成5年11月4日付長崎新聞より)
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【平成の長崎】は長崎県内の平成30年間を写真で振り返る特別企画です。

息の合った連続技を披露する蹴鞠保存会の蹴り方=長崎市上西山町、諏訪神社

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