氏名が変更になったらパスポートはどうする?~切替と記載事項変更の違い~

結婚して苗字が変わった場合など、氏名に変更があった場合、パスポートはどのように手続きをすればいいのでしょうか。

氏名の変更に伴うパスポートの手続きは、切替申請と記載事項変更申請の2通り。いったいどこが違うの?どっちの手続きをすればお得なの?旧氏名のまま旅行はできるの?・・・これらの気になる疑問にお答えします。

氏名が変わったらパスポートはどうする?

氏名に変更があった場合のパスポートの手続きには、2つの選択肢があります。ひとつは切替申請。つまりパスポートの更新にあたり、現在持っているパスポートを失効させて、新しくパスポートを作り直す方法です。

そしてもうひとつが、記載事項変更申請。すでに持っているパスポートの有効期限はそのままに、パスポートに記載されている内容を必要に応じて変更します。

※パスポートの追記ページに変更後の氏名を記載する「訂正申請」は廃止され、2014年から記載事項変更旅券制度が導入されました。

切替申請と記載事項変更申請はどう違う?

切替申請と記載事項変更申請の最大の違いは、新しいパスポートの有効期限。切替申請の場合、新規発給同様、新たにパスポートを作り直すわけですから、パスポートの有効期限は手続きした時点から5年ないし10年となります。

一方、記載事項変更申請の場合、すでに持っているパスポートの有効期限が適用されるため、手続きをすることによって有効期限が更新されることはありません。

ただし、切替申請と記載事項変更申請、いずれの手続きを行った場合でも、パスポートの冊子自体は新しくなり、所持人自署(サイン)や顔写真、ICチップ内のデータ、パスポート番号は新しいものに変わります。

記載事項変更申請のメリット

有効期限が更新されることはないにもかかわらず、なぜ「記載事項変更申請」という選択肢が存在するのでしょうか。それは、切替申請よりも記載事項変更申請のほうが手続き費用が安いというメリットがあるからです。

切替申請を行った場合、5年用は11000円、10年用は16000円の手数料がかかりますが、記載事項変更申請なら一律6000円の手数料で済みます。

現在所持しているパスポートの有効期限のほとんどが残っている場合、あるいはめったに海外に行くことがなく、パスポートを使うのが次の一回きりになるかもしれない場合などは、切替申請を行ったほうがお得になります。

切替申請のほうが安上がりな場合も

切替申請と記載事項変更申請では、手数料に5000~10000円の差が出てきますが、この手数料だけを見て一律に記載事項変更申請のほうが安上がりとはいえません。

記載事項変更申請では有効期限が更新されないため、すでに持っているパスポートの有効期限が短くなっている場合は、一時的な手数料は高くとも、長い目でみれば切替申請のほうがお得になります。

申請手数料が16000円の10年パスポートの場合、1年あたりの費用は1600円なので、有効期限が3年しか残っていなければ、そのパスポートの価値は4800円。6000円の記載事項変更申請費用のほうが上回ってしまいますね。

基本的に、現在持っているパスポートの価値が記載事項変更申請の6000円を下回る場合には、切替申請を行ったほうがコストパフォーマンスが高いといえるでしょう。

切替申請・記載事項変更申請の方法

パスポートの切替申請・記載事項変更申請は、原則として住民登録のある都道府県のパスポートセンターで行います。

ただし、住所地以外に生活拠点がある人は居所申請が認められる場合も。その際は、追加の提出書類などが必要になる場合もあるので、住所地以外での申請を希望する場合には、管轄のパスポートセンターに事前に確認をとるようにしてください。

切替申請であっても、記載事項変更申請であっても、手続きの方法はほぼ同じ。申請から受け取りまでの日数は一週間程度と、手続きに要する日数も変わりません。手続きに必要な書類は以下の通りです。

・一般旅券発給申請書(記載事項変更申請の場合は、記載事項変更用を使用)

・戸籍謄本または戸籍抄本

・写真(4.5×3.5センチ)

・現在所持しているパスポート

旧氏名のまま旅行することはできる?

結婚などで氏名が変わってから、まもなく海外旅行に出かけるという人もいるかもしれません。パスポートの氏名を変更する手続きをとらず、もとの名前のまま旅行ができるかといえば、可能です。

その際に気を付けなければならないのは、航空券や出入国書類に記載する氏名は、すべてパスポートと同一でなければならないということ。ツアー申込時の氏名や航空券を予約する際の名前は、必ずパスポートと同じ変更前の氏名を記入しましょう。

本来、氏名に変更があればすみやかに届け出る義務がありますが、入籍後すぐに新婚旅行に出かける場合や、氏名が変わってすぐに急遽海外に行くことになった場合など、出発までにパスポートの手続きをとる時間がないときには、変更前の氏名を使って旅行することが可能です。

ただし、変更前の氏名が記載されたパスポートをずっと使い続けることは望ましくないため、旅行終了後はできるだけ早くパスポートの変更手続きを行うようにしましょう。

パスポートは海外旅行の出入国審査に必須であるだけでなく、外国に滞在する際には自分の身分を証明する大切な書類。仕組みを正しく理解し、旅の相棒と賢く付き合っていきたいですね。

パスポートについての豆知識をもっと知りたい方は、過去記事『アメリカの旅行アドバイザーが教える、パスポートの安全対策はこれだ!』『知っておくと便利!パスポートを賢く使う裏技』などもぜひチェックを!

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