【平成の長崎】緊急輸入米 長崎初入港 農協団体 無言の抵抗 岸壁近くに横断幕 平成5(1993)年

 国内のコメ凶作に伴う輸入タイ米を積んだ貨物船が12月24日、長崎港に入港、出島岸壁に接近した。コメ不足のため政府が加工用に緊急輸入する20万㌧の一部で今回で16隻目。長崎へは初めての入港となったが、緊急輸入に不快感を示し、その後のコメ市場部分開放受け入れ表明に政府と対決姿勢を強める農協団体は横断幕を掲げ、無言の抵抗を示した。
 入港したのはパナマ船籍の貨物船『タンジュン プリオク』(7,705㌧)。タイうるち精米長粒種6800㌧(50㌔袋詰め)を積み、12月9日、タイのバンコク港を出港。途中悪天候避難のため当初予定より5日遅れで到着した。
 接岸後は穀物検定協会や長崎食糧事務所職員らが乗り込み、船上サンプリングを実施。カビの発生など、輸送中に生じ得る変質はみられなかった。25日から1月上旬までに荷揚げ作業や食品衛生法上の検査などを終え、同岸壁の倉庫に保管。中旬以降、長崎食糧事務所が焼酎(しょうちゅう)、みそ、食酢など県内、九州各地の加工業者に売却する。
 国内への加工輸入米20万㌧はうるち米ともち米で、タイ18万3000㌧、米国1万4000㌧、中国3000㌧。今回入稿までの合計は9万7800㌧に上っている。九州では博多、長崎、鹿児島が輸入港で、今後も長崎に入る予定。
 今回の入港に当たり、県農協中央会は同岸壁を見下ろす県農協会館7階部分に『コメ市場開放反対』の横断幕を掲げたがそのほかには表立った抗議行動はなかった。(12月25日付長崎新聞より)
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【平成の長崎】は長崎県内の平成30年間を写真で振り返る特別企画です。

接岸後、船に乗り込む税関職員ら=長崎港出島岸壁
長崎に初めて持ち込まれた輸入タイ米の荷揚げ作業

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