金属行人(9月20日付)

 台風21号による被害の影響は今もまだ残っている。公園で倒れている根っこの浅い木々、壊れたシャッター、屋根に張られたブルーシート…。関西の鉄鋼業関係者からは「前日から準備してもこの被害。準備ができない南海トラフ地震が起こったらどうなるのか」と、自然災害に対する備えの現状を危惧する声も聞かれる▼予想以上の被害をもたらした台風21号。ポジティブに考えるとしたら、やや漠然としていた自然災害への意識をより深刻に捉えられるようになったということだろうか。台風当日、自宅待機や帰宅命令を出した企業も多いようだが、業界関係者に話を聞くと「大したことはないだろうと工場に残る社員もいた」「倉庫に1人で留守番していたところもあったようだ。1人残ったところでどうしようもないのだが…」と、この台風に襲われるまで私たちの心のどこかに「たかが台風」という気持ちが残っていたのかもしれない▼大阪北部地震から西日本豪雨、そして台風21号と自然災害が相次ぐ。関東でもゲリラ豪雨が頻発している。立て続けに発生する災害は経済活動にも悪影響を及ぼしている。緊急事態にどう備えるか。企業の取り組みがより一層問われることになりそうだ。

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