関西の普通線材製品市場、一部に台風の復旧需要も全体的に盛り上がり欠く 市況、秋需期待も上伸力欠く

 関西の普通線材製品の動向は、停滞ムードが続いているが、一部の製品では台風21号の災害に関する復旧需要が増加傾向にある。また、市況に関しては、品目によってバラつきがあるものの、荷動きが盛り上がりに欠けるなか、総じて上伸力に乏しい展開が続いている。

 台風21号の影響で関西地区では、フェンス関連の引き合いが増加している。ホームセンターでは品薄感が漂う品目もあり、従来の金物店ルートの商流が復活し、流通の在庫品が動いている。特にフェンスやワイヤーメッシュは大阪府や兵庫県からの引き合いが官民問わず少しずつ増えておりこれから秋口にかけてさらに増加するという見方が多い。また、土木・建築関連向けのナマシ鉄線も一部地域で荷動きが回復傾向にある。釘類に関しても屋根補修などで引き合いが若干増えている。今後はまとまった復旧案件に伴う需要増が見込まれる。一方で、台風被害により線材加工メーカーにも建物の損傷や停電といった被害があり、生産設備や物流面への被害が多少あったもよう。

 災害復旧需要以外に関しては、荷動きは低調に推移している。丸釘などは動意薄が続いており、針金も盛り上がりに欠けている。問屋筋は「復旧需要以外は前年同期比横ばい程度で、数量が減っている品目ある」と憂う。

 普通線材製品市況については、踊り場状態が続く品目が多い。ハイグレードの針金などはメーカーが段階的な値上げを実施しているものの、浸透率は芳しくない。韓国針金メーカーは母材の上昇を販価に反映しており、夏ごろから日本向けは徐々に値上がりしている。一方で、ナマシ鉄線やワイヤーメッシュなどについて、流通筋は「通常分の引き合いがいまいち。安値要求するユーザーも多く、価格は頭打ちする可能性もある」と心配する。しかし、これから秋需が期待される時期に近づき、復旧需要と相まって、荷動き、引き合いの増加が期待されている。それに伴い、「市況もある程度上向くだろう」との声が市中から聞かれる。

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