大成建設、高性能振子式大型制振装置の性能を実証

 大成建設はこのほど、三菱重工機械システムと共同開発した屋上設置型の高性能振子式大型制振装置「T―Mダンパー」の振動実験を行い、性能を検証した。本制振装置によって超高層建物の揺れを最大30%低減できることを実証した。今後、長周期地震対策の制振技術として、新築・改築予定の超高層建物への適用に向け積極的に提案していく方針。

 本製品は従来超高層建物の風揺れ対策に使用されている多段振子式装置を改良。地震時には建物の揺れに対して揺れを抑える方向に振子が作用することで建物の振動エネルギーを吸収する。また、振子を3段に配置したことで振子の可動範囲が約4メートルと従来の約2倍に拡大。設置するオイルダンパー数も増やすことで効果的に地震による建物の揺れを低減できる。

 さらに、装置1台当たりの性能を向上させたことで錘の総重量を低減し、低コストでの設置が可能となった。また、設置工事が屋上に限定されることで景観を損ねずに設置可能となるなど建物利用者への影響を小さくできる。今回、3分の1スケールの試験装置を制作し、三軸振動台を用いて性能実験を実施。振子の周期や地震に対する作動状況の検証などにより地震時の揺れに対する低減効果と装置の安全性を確認した。

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