平壌共同宣言 県内の被爆者ら「一歩前進」

 南北首脳会談で、米国の相応の措置を条件に北朝鮮が寧辺の核施設を廃棄するなどの内容を含む共同宣言が出された19日、長崎の被爆者や専門家は朝鮮半島の非核化に向け北朝鮮が具体的な措置を示した点を「一歩前進」と評価。一方で、トランプ米政権の対応次第では非核化実現に向けた交渉が難航する可能性があると懸念の声も聞かれた。
 「米朝首脳会談から一歩前進した」。県被爆者手帳友の会の井原東洋一会長(82)は非核化に向けた北朝鮮の姿勢を歓迎。「目に見える形で成果を重ねることが大切。米国も何らかの見返りが必要だろう」と話した。
 県平和運動センター被爆連の川野浩一議長(78)は「南北の関係は進展している」とした上で、「米国と北朝鮮の話し合いが行われなければ非核化の問題は解決しないのではないか」と米朝の再交渉に期待した。
 長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA)の梅林宏道客員教授(81)は、米国が相応の措置を取れば核施設を廃棄するとした北朝鮮を「米朝両国が同時に次の一歩を進めよう、と訴えるメッセージが感じられる」と分析。ただ、北朝鮮が先に核放棄をしない限り安全保障に応じないとする態度を米国が取れば「これまでの動きが暗礁に乗り上げる可能性も出る」との懸念も示した。

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