室工大「理工学部」改組へ

学長の空閑良壽さん

室蘭工業大学学長の空閑良壽さん

 室蘭工業大学は2019年4月から、現行の工学部4学科を改組再編し、新たな「理工学部」2学科体制となる。改組の目的と新学科体制の内容、そして今後の目指す道はどういうものなのか、空閑良壽学長に聞いた。(聞き手・北川誠)

 ―2019年度からスタートする理工学部についてお聞かせください。

 「本学は法人化以降、総合理工学教育を行うことを掲げ、工業大学ながら幅広い教育を目指しています。理工学部は、より物事の本質を的確に捉え、理解し、応用までつなげる人材を育てていきたいということです。本質を見抜く力、探究する力を工学の中に加えていきます。また情報技術についても今回の改組の中で大きく取り組んでおり、学部教育の中で情報教育を必修科目で3科目入れたほか、2年生でも必修の共通科目の中に情報教育を入れました。かなり充実させた体制を取ります。北海道の特長は1次産業の割合が日本のどの地域よりも大きいことです。農林水産業に工業大学の出身者が直接貢献するよりも、理工学的な視点をもって貢献する、そうした人材を輩出していきたいです」

 ―来年4月までの期間に理工学部と室蘭工業大学をどう受験生にアピールしていきますか。

 「現在の学生構成は道内在住者が7割弱、道外が3割弱、残りは海外という感じです。もっと道外からも優秀な学生を取り込みたいということで、学生の多い関東圏の東京都市大学に試験会場を貸してもらえることになりました。国立大学は予算的な問題であれもこれもとはいきません。効率を考えて取り組みます。朝日新聞出版の『大学ランキング2019』では、分野別論文引用度指数のコンピュータ科学分野で東大を上回って日本一になりました。質の高い、参考になる論文を出しているということです。流動性のあるランキングなので継続していけばしっかりしたものになると思います。そうした点を大学の魅力として伝えていこうと考えています」

 ―道内3国立単科大学による法人統合の動きがあります。同じ国立単科大学として、今回の改組再編のような独自色を今後どう打ち出していきますか。

 「今後は大学院に力を入れていきたいと考えています。大学院は国立大学の一番の特長で、学部生だけなら私立大学のほうが数も学生数も多いですが、大学院だけの数を比べれば国立大学が圧倒的に多いです。教官の層も厚く充実しているところを生かして博士前期課程の改革に手を入れていくことになると思います。それが私立大学との差別化にもつながり、うちの特長になる研究力がアピールできるような大学にしていく必要があると思います。改革時期は未定ですが、来年学部改組が始まり1年生が入ってきます。この学生が大学院に入るまでにつないでいきたいと考えていますので、4年後が最終ラインとなります」

 ―今後の室蘭工業大学の展望をお聞かせてください。

 「ものづくりに貢献するという方向性は変わらず、方向性を広げるために理工学部を立ち上げます。質の高い研究と、それをベースにした教育の特色をアピールし、存在価値を高めていきたいです。理工学部というのは女性が活躍できる分野という意思表示でもあります。教官も増やし、9月からは役員に入れるなど、女性の多い職場に変えていこうと考えています」

 くが・よしかず 東京工業大学工学部化学工学科卒。理化学研究所や米国テキサス大学化学工学科博士研究員を経て1996年(平成8年)室蘭工業大学応用化学科助教に就任。2009年(平成21年)同大副学長、15年から学長。趣味は将棋とコーヒー、庭いじり。長崎県佐世保市出身。63歳。

取材後記「卒業後にも気を配る」

 取材中「足腰の強い、自走力を持った学生を育てたい」と展望を語った空閑学長。改組再編に伴い基礎に力を入れるのもそのためだ。「大学後も人生は続き、その期間が長くなればなるほどいずれ学び直ししなければならない時期が来る。その時に基礎が重要になる」と卒業後の学生にも気を配る姿勢に感銘を覚えた。

 一見型破りな発想や技術も、しっかりした基礎の上に成り立っている。歌舞伎の18代目中村勘三郎の「型をしっかり覚えた後に型破りになれる」を思い出した。

(2018年9月16日掲載)

室工大に来年4月「理工学部」開設

 室蘭工業大学(空閑良壽(くがよしかず)学長)は28日、文部科学省から「理工学部」の設置が認可されたと発表した。現行の工学部4学科を改組再編し、2019年4月から理工学部2学科体制とする。

 自然豊かなものづくりのまち・室蘭の環境を生かし、総合的な理工学教育を通して、変化する産業界で活躍できる人材を育成するのが狙い。「創造工学科(定員325人)」「システム理化学科(同235人)」の2学科で、「創造―」は「建築土木工学」「機械ロボット工学」「航空宇宙工学」「電気電子工学」の4コース、「システム―」は「物理物質システム」「化学生物システム」「数理情報システム」の3コースを用意する。

 新学部では、1年生で基礎教育を充実させるほか、2年生でより専門的な情報教育を充実させ、あらゆる産業の基盤となる情報技術を身に付けた人材を育成。また同学年では分野横断的な学科共通科目を充実させ、新時代の理工系人材に必要な隣接専門分野を理解する力を身に付けた人材を育成する。

 このほか19年度の一般入試前期日程について、これまでの室蘭、札幌、仙台、名古屋の4試験場に、東京都世田谷区の東京都市大学世田谷キャンパスを加える。試験日程は19年2月25日。(北川誠)

(2018年8月29日掲載)

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