有明漁協が機能不全 全役員辞任、職員も退職

 有明漁協(長崎県島原市)が20日までに全ての役員と職員が不在となり、機能不全に陥っていることが分かった。決算の未確定により通常総会を開けず、正組合員による役員改選請求もあって役員全員が辞任した。長崎県は、新体制による早期正常化に向け指導している。

 長崎県や同漁協元役員によると、正組合員(2016年度末135人)の5分の1以上の署名を添えた改選請求書が8月27日に同漁協に提出された。これを受け、松本正明組合長を含む理事8人と幹事3人の役員計11人が今月13日までに辞任。職員2人も20日に退職したため、同漁協は一時閉鎖状態になる見通し。

 水産業協同組合法に基づき通常総会は毎年6月に開かなければならないが、昨年は会計帳簿と現金残高が一致せず12月にずれ込み、原因究明を図る条件で2016年度決算が承認された経緯がある。今年は、購買事業の収支が合わず2017年度決算を確定できていないことから、現在も通常総会を開催できていない。

 長崎県は元役員に対し、新役員を決めるための臨時総会を早期に開くよう指導。だが、辞表受理などを巡る役員間のトラブルもあって開催の見通しは立っていない。

 今年1月に辞表を提出した50代の元役員は、2016年度末に発生した現金不足などを巡り「役員間において不信感が募った」と辞任の理由を説明。「現金不足など真実を明らかにしてほしい」と話した。松本氏は「漁協の金を私的な飲食に使ったという疑いを持たれたが事実無根。現金不足の原因は調査中。だが混乱させた責任を取りトップからは身を引きたい」と説明した。

全ての役員と職員が不在となった有明漁協=長崎県島原市有明町

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