産総研など、カリウムイオン電池用正極材料の4V級複合酸化物を開発

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 産業技術総合研究所は20日、立命館大学などの研究グループと共同で、カリウムイオン電池用の4V級酸化物正極材料を開発したと発表した。カリウムイオン電池はリチウムイオン電池(LIB)に続く次世代蓄電池技術の一つとして研究開発が進められている段階だが、資源が豊富で低コスト化が期待できるカリウムを用いるという利点がある。LIB用正極材料と同等の4V程度の作動電位を示す複合酸化物群が開発されたことで低コスト蓄電池の実現に一歩前進した。また、同酸化物が固体電解質としても利用できる可能性も見出し、全固体電池への応用できる可能性もあるとしている。

 研究グループは、結晶構造解析と理論計算によって候補化合物を選定し、候補酸化物の作動電位を実測して層状型構造を持ち、4V程度の作動電位の化合物群を発見した。発見した化合物群は、比容量は理論値で130~140ミリアンペアアワー/グラム、平均作動電位3・6~4・3V、正極材量ベースでのエネルギー密度470~600ワットアワー/キログラムに達し、従来の酸化物材料を大きく超える可能性があるとしている。

 開発した酸化物群は、結晶中にハニカム型の層状構造を持ち、この層がカリウムイオンを高速かつ二次元に拡散させる経路となっている。今後はカリウムイオン電池を構築するため、正極材料の性能を向上させるとともに、それらに適した負極と電解液、固体電解質の開発を推進していく考え。

 既存のLIBは、資源が偏在し、安定供給に課題のあるリチウムが用いられているため、資源的に有利で低コスト化が可能な他のアルカリイオンをキャリアーとする蓄電池が注目を集めている。特にカリウムイオン電池はLIBと同様に黒鉛を負極材料に用いることができるため、既存の生産設備を流用できるという利点がある。さらに黒鉛は作動電位が0Vに近いのでカリウムイオン電池は正極の作動電位をそのまま生かすことができる作動電圧が高い蓄電池として期待されている。