NASCAR:TOYOTA GAZOO Racing 2018年第27戦ラスベガス レースレポート

モンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第27戦ラスベガス

プレーオフ開幕戦は大荒れ。

マーティン・トゥルーエクス・Jr.が3位
カイル・ブッシュ7位

 ついにプレーオフに突入したNASCARカップ・シリーズは猛暑のラスベガスで開催。プレーオフドライバーが次々にアクシデントで脱落する大荒れのレースとなりました。そんななか、つねに上位争いを繰り広げたマーティン・トゥルーエクス・Jr.が3位フィニッシュ。地元ラスベガス出身のカイル・ブッシュは接触やコースオフで周回遅れになるも終盤猛烈な追い上げを見せ7位に入りました。
 
 エクスフィニティ・シリーズはレギュラーシーズン最終戦で、ともにトップ10フィニッシュを果たしたクリストファー・ベルとブランドン・ジョーンズの若手2人がプレーオフ進出。
 
 トラック・シリーズではプレーオフを戦うブレット・モフィットが終盤までトップを快走しましたが、度重なるアクシデントによる延長で痛恨の燃料切れに見舞われ11位でレースを終えました。

Monster Energy NASCAR CUP SERIES
第27戦 SouthPoint 400
開催日:9月16日

プレーオフ開幕戦は大荒れ。

マーティン・トゥルーエクス・Jr.が3位
カイル・ブッシュ7位

 9月16日(日)、米国西部ネバダ州ラスベガスのラスベガス・モーター・スピードウェイでモンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第27戦『SouthPoint 400』が開催されました。

 今季のNASCARカップ・シリーズも年間36戦中終盤の10戦で選抜された上位ドライバーがタイトルを争うプレーオフに突入しました。トヨタ勢はシーズン前半に圧倒的な強さを見せたカイル・ブッシュとマーティン・トゥルーエクス・Jr.、そしてデニー・ハムリンと初進出エリック・ジョーンズの4名がこのプレーオフに進出し、タイトルを争います。

 16日(日)は気温が35度近くになる暑さとなるなか、午後12時21分、1.5マイルオーバルを80周、80周、107周の3ステージ合計267周(400.5マイル:約640km)して競われる決勝レースがスタート。今季初、通算2度目のポールポジションを獲得したエリック・ジョーンズを先頭にレースがスタートしましたが、10番手スタートのマーティン・トゥルーエクス・Jr.以外のトヨタドライバーは暑いコンディションでのハンドリングに苦しみ徐々に後退。ステージ1はトゥルーエクス・Jr.がトップ。カイル・ブッシュが5位、エリック・ジョーンズが8位となりました。
 
 ステージ1は一度もイエローコーションが出ないまま終わりましたが、ステージ2はスタートしてすぐにアクシデントによるコーションが発生。ステージ終盤の146周目、カイル・ブッシュ、トゥルーエクス・Jr.とともにシーズン前半戦を支配した“ビッグ3”のひとりであるケヴィン・ハーヴィック(フォード)がタイヤバーストにより壁にクラッシュ。すぐ後を走行していたエリック・ジョーンズはこれを避けきれずに突っ込み、ともにリタイア。プレーオフを戦う2人が早くも姿を消すこととなってしまいました。
 
 トヨタ勢では相変わらずトゥルーエクス・Jr.が孤軍奮闘で上位を争い、ステージ2は3位。ハムリンとカイル・ブッシュは14位、15位でステージ2を終えました。
 
 ステージ3は、カイル・ブッシュがステージ前のコーション時にピットに入らず、4位で再スタート。しかし、その後出されたコーション時にピットでほかの車両と接触。車体にダメージを追い、修復のために後退。また、232周目にもカイル・ブッシュはスピンを喫しイン側のグラスエリアにコースオフ。周回遅れとなってしまいました。
 
 246周目には、今度はハムリンがスピンしイン側のグラスエリアにコースオフ。これによって出されたコーションで、カイル・ブッシュは“ラッキー・ドッグ(コーション発生時に周回遅れの最上位が1周取り戻せる救済措置)”を獲得し、首位と同一周回に復帰しましたが、ハムリンはレースを終えることとなってしまいました。
 
 レースは残り6周でコース上の異物によりイエローコーションが出され、最後の2周で再スタートが切られることに。しかし、ファイナルラップに入る直前にまたも5台が絡む多重クラッシュが発生し、コース清掃のために赤旗中断。再開後、レースは延長されて最後の2周“オーバータイム”での決戦という、最後まで大荒れの展開に。
 
 最多の96周にわたって首位を走行したトゥルーエクス・Jr.でしたが、最終的には3位でフィニッシュ。周回遅れから復帰後、猛烈な追い上げを見せたカイル・ブッシュが7位。ダニエル・スアレツが8位でチェッカーを受けました。

 次戦第28戦は9月22日(土)、米国東部バージニア州リッチモンドのリッチモンド・レースウェイで行われます。

ドライバー マーティン・トゥルーエクス・Jr.

「全体的に見て、素晴らしい一日になりましたし、この週末、チームクルーは信じられないような仕事を成し遂げてくれました。デンバーの工場のスタッフにも感謝します。今日はロングランでは最高の仕上がりだったのですが、ショートランはそこまでではありませんでした。再スタート時に首位にいれば良かったのですが、誰かが前にいるとハンドリングが悪化し、我慢のレースを強いられました。しかし、今日の我々の“トヨタ カムリ”は最速の1台でした。本当にチームを誇りに思います」

NASCAR XFINITY SERIES
第26戦 DC Solar 300
開催日:9月15日

クリストファー・ベルが4位フィニッシュ

ベルとブランドン・ジョーンズの2名がプレーオフへ

 9月15日(土)にNASCARエクスフィニティ・シリーズの第26戦「DC Solar 300」がラスベガス・モーター・スピードウェイで開催されました。

 カップ・シリーズはこの週末よりプレーオフに突入しましたが、7戦で争われるエクスフィニティ・シリーズのプレーオフは次戦から。今大会はレギュラーシーズン最後の戦いとなりました。トヨタ勢ではルーキーながら今季4勝を挙げている23歳のクリストファー・ベルと、未勝利ながらドライバーズランキングで7位につけるブランドン・ジョーンズの2名がプレーオフ最初の選抜12名に入ることが決まっています。

4位、7位でフィニッシュし、次戦からの“プレーオフ”に挑むクリストファー・ベル(#20)とブランドン・ジョーンズ(#19)

 15日(土)午後2時18分、1.5マイルオーバルを45周、45周、110周の3ステージ合計200周(300マイル:約480km)して競われる決勝レースがスタート。4番手スタートのベルが順調に上位を争う一方で、予選時に車検で失格となり、34番手、36番手と後方スタートを強いられることとなったライアン・プリースとブランドン・ジョーンズはスタートしてすぐにポジションアップ。
 
 トップ20圏内まで浮上しましたが、5周目に16位走行中のプリースが、イン側でバランスを崩した車両に接触され、車体にダメージを負い、さらにこのダメージによりタイヤパンクにも見舞われ周回遅れとなってしまいました。

 ステージ1はベルが2位、ブランドン・ジョーンズは追い上げ10位。ステージ2もベルが4位、ブランドン・ジョーンズが7位とトップ10圏内をキープ。プリースはコーション時にピットに入らず首位と同一周回に復帰し、トップ10圏内まで追い上げましたが、124周目にスピンを喫しまたも周回遅れに。
 
 レースは終盤、クラッシュによるコーションが連発する荒れた展開となり、ふたたびプリースは首位と同一周回に復帰。レースを通してトップ5圏内で走り続けたベルが4位、プリースは大健闘の6位、ブランドン・ジョーンズが7位でチェッカーを受け、トヨタ勢は若手の駆る3台がトップ10フィニッシュを果たしました。

 プレーオフ初戦となる次戦第27戦は9月21日(金)、リッチモンド・レースウェイで行われます。

ドライバー クリストファー・ベル

「我々は春のリッチモンド(次戦プレーオフ初戦が行われる)で勝っていますし、とても良い状態で臨めると思っています。チームは素晴らしい仕事ぶりで、本当に速い“トヨタ カムリ”を仕上げてくれます。シーズン初戦から全開で戦えましたし、常に勝利を争えています。こんな恵まれた環境で戦えるのは本当に最高です」

NASCAR CAMPING WORLD TRUCK SERIES
第18戦 World of Westgate 200
開催日:9月14日

3度の“オーバータイム”で

首位快走のブレット・モフィットは痛恨の燃料切れ

 NASCARキャンピング・ワールド・トラック・シリーズ第18戦『World of Westgate 200』が9月14日(金)にラスベガス・モーター・スピードウェイで開催されました。
 
 トラック・シリーズは一足早く、前戦カナダでプレーオフに突入。選抜された8名が、終盤の7戦でタイトルを争います。トヨタ勢ではブレット・モフィットとノア・グラッグソンがプレーオフに進出しており、初戦を終えた時点でランキング2位、3位につけています。

終盤首位を走るも燃料切れで11位に終わったブレット・モフィット(#16)

 14日(金)午後6時20分、1.5マイルオーバルを30周、30周、74周の3ステージ合計134周(201マイル:約320km)して競われる決勝レースがスタート。
 
 地元ラスベガス出身の20歳、グラッグソンが今季5度目のポールポジションから首位を逃げ、ステージ1は一度もその座を譲ることなくステージウィン。18歳のトッド・ギリランドが10番手スタートから順位を上げ4位。今季エクスフィニティ・シリーズにレギュラー出場しており、トラック・シリーズには今季5戦目のスポット参戦となる21歳のブランドン・ジョーンズが5位で続きました。

 ステージ2はグラッグソンが3位、ブランドン・ジョーンズが9位、前半苦しんだモフィットが10位に入りました。

 ギリランドはステージ2終盤にピットインし、ステージ間はコース上に残る作戦で、2位で再スタートを切りましたが、83周目に3台によるバトルの中で接触し壁に激しくクラッシュ。レースを終えることとなってしまいました。

 ブランドン・ジョーンズもクラッシュに巻き込まれリタイア。首位を争っていたグラッグソンはモフィットとの接触でタイヤパンクを喫し後退。後半調子を上げてきたモフィットは、残り10周で切られた再スタートで絶好のダッシュを決め、首位に浮上。しかし、残り4周というところでイエローコーションが出され、レースは延長、最後の2周決戦の“オーバータイム”に。
 
 モフィットはこの“オーバータイム”の再スタートも上手く決め、首位を守りましたが、ファイナルラップに入る直前にふたたびクラッシュが発生し、“オーバータイム”はやり直し。4周延長で切られた2度目の“オーバータイム”では、9台が絡む多重クラッシュが発生し、レースは赤旗中断。
 
 10分ほどの中断の後にレースは再開され、当初の予定よりも10周延長での3度目の“オーバータイム”の再スタートが切られましたが、モフィットはここで痛恨の燃料切れ。終盤首位を走りながらも、11位に終わりました。

 しかし、レギュラーシーズン中に稼いだポイントにより、プレーオフ2戦を終えた時点でグラッグソンが2位、モフィットは3位につけています。

 次戦第19戦は10月13日(土)に米国南部アラバマ州タラデガのタラデガ・スーパースピードウェイで開催されます。

ドライバー ブレット・モフィット

「順調に数周は走れると思っていましたし、何も問題はありませんでした。ホワイトフラッグの振られるスタート/フィニッシュラインまであと100mもないところで、コーションフラッグが振られてがっかりしました。あとは起こった通りです」

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