有明漁協 売上金不足 組合員から不安の声

 有明漁協(島原市)の全役職員が辞任・退職し閉鎖状態となった問題で、同漁協の2017年度購買事業の売上金の不足額が数百万円に上ることが21日、関係者への取材で分かった。同市有明町の事務所は施錠され、出入りする人の姿もない中、組合員には不安の声が広がった。
 購買事業では、漁船の燃料や漁具などを組合員に販売している。関係者によると、同漁協の17年度購買事業の損益は700万円以上の赤字を見込んでいる。売上高の計上漏れや不明瞭な棚卸しなどがあり、現金数百万円が足りない状況。このため決算を確定できず、法定の6月に通常総会を開けないまま、現在に至っている。
 県が6月に検査した結果、同漁協の担当職員が税理士に帳簿の修正を指示し、未収金や売り上げを大幅に減少させていたことも判明。県はこの職員に説明を求めたが、協力を得られず原因は不明のままという。
 こうした中、40代の男性組合員は「ある意味、自分たちは被害者。内部のごたごたが長引いて今後、(漁協が)解散することになれば、漁業権を失い、漁ができなくなる。とても不安」と言葉少なに語った。70代男性組合員は「何でこんな状態になったのか、しっかり原因を究明し、組合員に説明してほしい。一日も早く正常化することを願っている」と話した。
 漁協の正面玄関扉には、事務所内金融機関の営業休止を知らせる張り紙があり、真剣に見ていた60代女性は「知人に閉鎖を聞いた。長年、利用してきたのでこれからどうすればいいか、心配で来た」と困惑した表情を浮かべた。
 一方、県漁連指導課は「(閉鎖は)異例の事態。まずは一刻も早く、新執行体制をつくれるよう県と歩調を合わせて対応したい。その後の決算整理も支援、指導していく」と話し、組織の立て直しを急ぐ考えを示した。

施錠されカーテンが閉められた有明漁協の正面玄関=島原市有明町

© 株式会社長崎新聞社