内視鏡洗浄装置を開発 長崎大など 短時間で安全に処理

 長崎大などは21日、内視鏡手術で使う医療機器を短時間で安全に洗浄できる装置「メディカル・ナノ・ウォッシャー」を開発し、医療機器として国の認定を受けたと発表した。手洗いの3分の1の約10分で洗えるほか、特殊な洗浄剤を使わないため、人体への悪影響も避けられるという。
 長崎大によると、近年内視鏡を使った手術が増えており、大学病院でも胸部や腹部の手術の8割を占める。手術で使う鉗子(かんし)や硬性内視鏡の多くは洗浄や消毒、滅菌を経て再使用する。
 しかし、これらの精密機器は形状が複雑だったり熱に弱かったりするため、看護師らが特殊な洗浄剤などで手洗いする必要がある。洗浄剤による健康被害や、医療機器に残った病原体が二次感染を引き起こす危険性が指摘されていた。
 長崎大は短時間で確実に洗浄できる装置をつくろうと、水処理プラントメーカーの協和機電工業(長崎市)、医療機器開発販売のクリプトン(東京都)と2012年度から産学連携で共同開発を進めていた。長崎大が医療機器の開発に携わったのは初めて。
 装置は高さ約90センチ、奥行きと幅約70センチの箱型。医療機器を装置に入れてボタンを押すと全自動で洗浄。アルカリ性や酸性の電解水などでウイルスや細菌を効果的に取り除く。大学病院で10月から臨床試験をした後、市販する予定。
 開発に携わった長崎大の永安武医学部長は「産学連携によりオリジナリティーがあり、世界に誇れる製品を開発できた」と話した。

洗浄装置の使い方を説明する永安医学部長=長崎市坂本1丁目、長崎大学病院

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