非常事態のセ・リーグ 日程遅れで最終順位4位以下がCS進出も…期限は10月11日

今季、阪神の残り試合は現時点で17試合となっている【写真:荒川祐史】

アグリーメントに基づき、10月11日終了時の順位でCS進出決定

 セ・リーグは9月20日、アグリーメントに基づき、クライマックスシリーズ(CS)出場球団はCS開幕予定日の2日前にあたる10月11日終了時点の順位をもって確定すると発表した。

 アグリーメント自体は従来のままだが、今季の日程消化が遅れている中で、この措置を取る可能性がでてきたために、再度確認したものだ。

 現在のセ・リーグ各球団の残り試合数を見てみよう(Hはホーム、Rはロード)。

広島 13試合(H11試合R2試合)
ヤクルト 14試合(H6試合R8試合)
巨人 9試合(H4試合R5試合)
DeNA 13試合(H1試合R12試合)
中日 8試合(H6試合R2試合)
阪神 17試合(H9試合R8試合)

 9月22日から数えてタイムリミットの10月11日まで、残り20日。最も多くの試合を残している阪神でも3日間の余裕があるが、今年は秋雨前線が停滞している上に台風の発生も多く、予断を許さない状態だ。

 セ・リーグの残り37試合のうち、ドーム球場(東京ドーム、ナゴヤドーム)での試合は10試合だけ。残り27試合は屋根のない球場で行われる。20、21日と神宮球場でのヤクルト対巨人戦が中止になったが、同様の雨天中止はこれからも発生すると考えられる。

 今季セ・リーグのペナントレースは混戦が続いている。CS出場権のある3位の座を巡って、巨人、DeNA、中日、阪神の4球団が1.5ゲーム差の間にひしめいている。

 10月11日の時点で試合を残したままペナントレースの順位が確定した場合、その後の試合で順位が逆転する現象が起こり、シーズン最終結果としては勝率4位、5位のチームがCSに進出する可能性もある。

 もう1つの懸念は、10月11日の段階で試合を残しているチームのCS出場が決まってしまうケースだ。この可能性が高いのは阪神だが、その場合はチームを分けてCSとペナントレースを同時に戦うことはできない。11日時点の残り試合は、CSと並行して「可能な限りの消化を目指す」とされているが、最悪の場合、143試合に達しないまま打ち切られる可能性もある。

1日に2球団と対戦する可能性も…

 MLBではポストシーズンの開幕前々日までに消化できなかった試合は、自動的に打ち切られる。2016年はデトロイト・タイガース、クリーブランド・インディアンス、アトランタ・ブレーブス、マイアミ・マーリンズが予定の162試合より1試合少ない161試合でペナントレースを終えた。

 公式戦の打ち切りは個人記録面で不公平が発生し、興行面でも損失につながるため、何としても避けたいところだろう。

 セ・リーグはこれを防ぐため、ダブルヘッダーを行う可能性にも言及している。

 ダブルヘッダーは1998年を最後に行われていないが、野球協約ではこれを禁止していない。また最悪の場合、1つの球団が1日に2球団と対戦することも可能だ。野球協約には以下の条項がある

第161条 (1日に行う試合の相手球団)年度連盟選手権試合において、ある球団のチームが1日に行う試合の相手チームの数は、1球団に制限される。ただし、コミッショナーにより、特に認められた場合に限り、1日に2球団のチームを相手として試合をすることができる。

 パ・リーグの試合消化が遅れているのも同様だが、パの場合CS進出チームが西武、ソフトバンク、日本ハムの3球団でほぼ固まっている。また、6球団中4球団がドーム球場を本拠地にしており、今後の試合消化でもセ・リーグほど深刻な事態になっていない。

 今年のセ・リーグはまさに「非常事態」になっている。昨今の異常気象を考慮すれば、来季以降のペナントレースは試合編成を見直すべきではないだろうか。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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