農作業重大事故が最多ペース 県内、過去10年比較

 今年、県内で農作業中の死亡事故を含めた重大事故は27件(19日現在)発生し、過去10年間で最多のペースで推移している。実りの秋を迎え、収穫作業が本格化し、忙しさが増す中で事故の危険性が高まる。県は「焦りや、単独での作業は禁物」と注意を呼び掛ける一方、計画的で余裕を持った作業を勧めている。

 農作業事故は毎年、田おこしや田植えの作業が行われる4~6月の他、本県では高所作業を伴うサクランボの管理・収穫期の5~7月に多発する傾向がある。夏場はいったん減少傾向になるものの、再び多くなるのが9~10月の収穫期だ。

 今年は既に4件4人が亡くなっており、23件23人が1カ月以上の治療が必要な重大事故だった。過去10年で重大事故が最も多かったのは、2014年の34件。今年はそれを上回るようなペースで発生している。

 山形市では4月、畑に入ろうとのり面をトラクターで乗り越えようとした際に横転し、下敷きになって90歳の男性が亡くなった。遊佐町では6月、柿の木畑で農薬散布車を運転中の78歳男性が、枝と走行中の車両の間に挟まったとみられる事故で窒息死した。今月に入り飯豊町で、田んぼに農業資材を運んだ後、運搬車ごと川に転落し、68歳の男性が溺死している。

 「晴れた日や収穫適期を逃してはいけないと、焦ることで事故が誘発される傾向にある」と、県農業技術環境課の担当者は分析。特に今年は例年に比べ、天候が不安定で急変することも多い。空模様を相手に仕事をする生産者にとって、秋晴れの日に作業を進めておきたいという心理がはたらきやすい。また、コメや果樹などは、それぞれの適期に収穫しなければ、品質低下なども招くため、こうした思いを抱く農家は多い。

 村木沢あじさい営農組合(山形市)の佐藤清一理事(70)は「雨が降る前に刈り終えようと焦ったり、1日のノルマを達成しようと慌てたりすると、機械操作を誤り、大きな事故につながる恐れがある」と話し、「大事なのは急がず、ゆっくり作業すること。ウサギよりカメの方が早いこともある」と続けた。

 県は今月と来月末までを「秋季農作業事故防止強化期間」とし、県内各地で啓発活動を展開。農業機械から離れる際はエンジンを停止させることや、2人以上での作業、作業に適した服装と緊急連絡用の携帯電話を身に付けることなどを呼び掛けている。同課の担当者は「気もまず、焦らず、計画的な作業を心掛けてほしい」としている。

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