早急な変更を危惧 就活ルール見直し問題

会社説明会の開始時期に、就職活動の成功に向けた決起イベントで気勢を上げる学生ら=大阪市中央区

 経団連の中西宏明会長が就職活動ルールを廃止する意向を表明したのを機に、大阪・関西の経済界からは、早急な変更による混乱を危惧する声が相次ぐ一方、現状への課題認識が示されている。企業の事情だけでなく、学生たちが、社会でより力を発揮できるようになるための仕組みがあらためて問い直されている。

 会社説明会や面接の時期など、就活日程のルールを完全になくし、通年採用にする点については慎重な意見が相次いだ。

■中小企業に配慮

 関西経済連合会の松本正義会長(住友電気工業会長)は18日の定例会見で「365日やればいいというのには反対。日本のシステムから考えるとかなりの弊害が出てくる面もある」と指摘。経済界が政府や教育機関とともに議論し、意見を集約して答えを出していくべきだとの立場だ。

 大阪商工会議所の21日の定例会見では、東和浩副会頭(りそな銀行社長)は「採用のやり方の柔軟性を確保していかないといけないが、中小企業の観点からは、採用環境が厳しいので一定程度のルールがあったほうがいい」と語った。

■時機の見極め

 今後の採用活動の情勢を見極めるよう説いたのは尾崎裕会頭(大阪ガス会長)。「(仮に)来年から全くルールなしでやるとなったら大混乱になる。将来的にもっと(中途採用や転職といった雇用の)流動性が高まる状況になったら、それも含めて働き方が変わっていく。そのときにはルールを変えるべきでは」と見解を示した。

 古川実副会頭(日立造船相談役)は、新卒の初任給が各社で一律になっている点に着目。中途採用のように能力に応じて差が出るような環境が築かれるのを通年採用に切り替えるタイミングの一つとして挙げ、「そうなると学生も勉強するようになる」と指摘した。

■人材を育てる

 経団連に加盟していない企業が早い時期から採用活動に入るケースがあり、人材獲得競争の不公平感が企業間にあるものの、学生を起点に考えるよう促す意見も。吉田昌功副会頭(近鉄グループホールディングス社長)は「学生がしっかり勉強をしてもらうやり方は何があるのかを考えていったらいい」と提案した。

 中小企業でつくる府中小企業家同友会の堂上勝己会長(梅南鋼材社長)は「将来を担う青年をどう育て、社会で活躍してもらう環境をどうつくるかが重要」と強調。学生が、中小企業を含む多くの企業を見学しながら自分の将来を考えられるようにする大切さを訴えた。

 学生が社会につながる学びを深め、その力を遺憾なく発揮できる場を卒業とともに獲得する−。早期離職や内定辞退を防止し、企業にとっても利点の大きい仕組みの構築を真剣に考える時機が来ている。

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