ロッテ福浦、地元を愛して2000本 王貞治氏以来、史上2人目の意外な記録も

ロッテ・福浦和也【写真:荒川祐史】

出身県でプレーし2000安打を記録したのは王貞治氏以来2人目

 9月22日、ロッテの福浦和也内野手が、プロ通算2000本目の安打を放った。マリーンズ一筋25年、42歳でたどり着いた大台。それは、極めて少ない真の「フランチャイズプレーヤー」による偉業の達成でもあった。

 千葉県出身の福浦は地元の習志野高校から千葉ロッテに入団し、高校時代から現在に至るまで千葉県一筋の現役生活を送り続けている。アマチュア時代から出身県でプレーし、その上で2000安打を達成した選手は、長いプロ野球の歴史上でも福浦を含めてわずか2人しかいない。

 福浦のほかに、この記録を達成したもうひとりの人物は、あの王貞治氏だ。東京都出身の王氏は早稲田実業高校のエースと4番を張り、卒業後に同じく東京を本拠地とする巨人に入団。周知の通り、その後は巨人一筋22年の現役生活を過ごした。

 また、アマチュア時代から同じ土地でプレーを続け、名球界入りした選手としては、中日の岩瀬仁紀投手が挙げられる。愛知県出身、西尾東高校、愛知大学、NTT東海と、高校から社会人まで同県のチームで過ごし、地元の中日に入団。スライダーを武器に前人未到の通算400セーブを達成するなど、球界を代表する鉄腕として球史に名を刻んでいる。

 2人の投打の「先達」には及ばないまでも、福浦もまた今年、球団の最多出場試合数の記録を更新したばかり。6年連続の打率3割、歴代2位となるシーズン50二塁打といった記録も残している「幕張の安打製造機」。千葉一筋の野球人生においてまさに「千葉の誇り」と呼ぶに相応しいだけの、記録にも記憶にも色濃く残る活躍を続けてきたはずだ。

 続けて、福浦と同じくパ・リーグの球団のみに在籍し、2000本安打を達成した選手を紹介していきたい。この条件を満たす人物は以下の通り。

榎本喜八 毎日、大毎、東京、ロッテ、西鉄 通算2314安打
野村克也 南海、ロッテ、西武 通算2901安打
広瀬叔功 南海 通算2157安打
土井正博 近鉄、太平洋、クラウン、西武 通算2452安打
福本豊氏 阪急 通算2543安打
山崎裕之 東京、ロッテ、西武 通算2081安打
有藤道世 ロッテ 通算2057安打
門田博光 南海、オリックス、福岡ダイエー 通算2566安打
新井宏昌 南海、近鉄 通算2038安打
秋山幸二 西武、福岡ダイエー 通算2157安打
田中幸雄 日本ハム、北海道日本ハム 通算2012安打
松井稼頭央 西武、メジャーリーグ、東北楽天、埼玉西武 通算2088安打(日本球界のみ)

※セ・リーグにも在籍していたが、パ・リーグだけで2000安打達成
張本勲氏 東映、日拓、日本ハム、巨人、ロッテ 通算3085安打

 以上、パ・リーグのみの在籍で2000安打を達成したのは12人。だが、福浦と同様に1つのチームで偉業を成し遂げたのは、広瀬叔功氏、福本豊氏、有藤道世氏、田中幸雄氏のわずか4人だった。オリオンズのレジェンドでもある榎本氏も、現役最後の1年間は西鉄に移籍しており、同じ球団で現役生活を全うすることの難しさが改めてうかがい知れる。

 ロッテ一筋、千葉一筋の選手生活を送っている福浦。数多くの苦難を乗り越えて、地元の人々に愛される「真の」フランチャイズプレーヤーが達成したこの偉業は、あらゆる面で稀代の記録と形容することができそうだ。(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

© 株式会社Creative2