金属行人(9月25日付)

 「旺盛な国内建設需要は2020年以降も2~3年は続くだろう。しかし人口の減少傾向にある中で、その後も需要の増加が続くことは考えにくい」。将来の建設用鋼材需要について取材すると、おおむねこうした返答を聞く▼実際、人口減少の問題は深刻だ。厚生労働省の統計によると17年の出生数は94万1千人と過去最低。一方、死亡数は134万4千人だ。単純にこの数字だけを比べても年間で40万3千人の人口が減少したことになり、愛知県豊田市や大阪府東大阪市の人口(15年時点)よりも多い数字だ▼現在、女性活躍推進がうたわれ社会の表舞台で輝く女性が増えてきている。むしろ、女性も働いて当たり前のような風潮が見られるように感じる。しかし人口減少は国力に直結する死活問題で、子育てをする女性や男性は専業であっても尊重されるべきだと感じる▼国の支援ももっと積極的でいいはずで、子だくさんの家庭には働いているのと同等の金銭的援助をしていいくらいではないだろうか。そうでもしない限り、結婚・子育てに魅力ではなく負担を感じてもおかしくない。その対応は国の行く末を見つめながら為政者のみが断行し得ることで、財源もよくよく見直せば確保し得るはずだ。

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