平戸城の再築城300年 記念フォーラムで理解深める

 平戸城の再築城300周年を記念するフォーラムが22日、長崎県平戸市岩の上町の平戸文化センターであり、訪れた市民ら約150人が理解を深めた。

 平戸城は1718年に再築城され、今年2月に300周年を迎えた。明治時代に廃城となったが1962年に現在の本丸が復元されている。フォーラムは本年度から予定されている城の大規模改修を前に、専門家の観点を交え歴史や魅力を市民に知ってもらおうと平戸市が企画した。

 フォーラムでは、東京大史料編纂(へんさん)所の山本博文教授(幕藩体制史)と奈良大文学部の千田嘉博教授(城郭考古学)が基調講演をした。

 「平戸城の焼失と再建」と題し話した山本教授は、平戸古城が火事で焼失した1613年、地元では放火や失火が多かったと解説。後の平戸藩主、松浦棟(たかし)公の命で1704年から約14年かけ再築城した。当時藩の財政が厳しく、家臣の給与の約2割が建設費に充てられたが「藩の象徴ともいえる城の完成を藩主とともに喜んだはずだ」と述べた。

 6人が登壇したパネルディスカッションでは、城周辺を支える石垣の加工技術や、再築を許可した江戸幕府との政治的関係などについて議論した。

平戸城の再築城300周年を記念し開かれたフォーラム=平戸文化センター

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