北陸地区の鉄鋼特約店、上期業績は堅調に推移 製造業、建築分野など好調、下期堅調も工事遅れなど不安も

 北陸地区の自動車や電子・デバイス、建設機械、工作機械など製造業分野では高水準の生産を維持。ホテルを中心に建築需要も活発で、北陸新幹線延伸工事など公共工事の発注額も増えている。地区特約店の8月現在の業績も「前期並みに堅調」(金沢)、「前半戦は3%増で計画を上回っている」(福井)、「6月頃から荷動きが上向いてきた」(富山)などの声が聞かれ、堅調に推移している。

 設備投資計画調査をみると、北陸3県(富山・石川・福井)の製造業における2018年度設備投資は前年度に比べ30%増の3391億円の見通し。また建築統計によると4~6月期における全建築物の着工床面積は94万4千平方メートルと前年同期比で14%増加。7月も32万6千平方メートルと同25%も増加している。

 4~6月期の公共工事前払保証請負金額も4543億円と同19・7%の増加。土木製品を扱う商社筋では「石川や福井では新幹線工事が進捗。中でも福井は中部縦貫自動車道や足羽川ダム関連など大型土木工事もあり活況」としている。

 鉄骨加工業界では、大手ファブは概ね来年春先まで豊富な受注残を抱え繁忙感が継続しているものの、慢性的な職人不足や図面の遅れのみならず、ビルトH形鋼、BCRコラム、スプライスプレート、ボルトなどの納期が大幅に伸びたままで「鉄骨工事の中断・延期が深刻」(金沢)。完成した製品が現場搬入できず、一部ファブでは新たな置き場ヤードを確保せざるを得ないケースもあるなど対応に苦心している。

 このため下期については「前年並みの堅調な需要が見込めるが、工事の遅延や延期で販売量が低下し、業績を下押す可能性もある」(同)。また「先般の西日本を中心とする台風や豪雨被害の1日も早い復旧を望んでいるが、長引く場合は予定されていた民間設備投資の見直しやインバウンドなど好調だった観光需要にブレーキがかかり、国内経済全体へ影響が及ぶ」(福井)懸念もある。

 下期の業績も堅調な推移が期待できる一方、先行きに対する一抹の不安が残る状況だ。

ホテル建設ラッシュが継続する金沢市内(写真は金沢駅西口)

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