サカタ製作所、長岡の本社工場で〝鉋削り〟体験会 大工職人などの後継者不足サポート

 鉋(かんな)製造にルーツを持ち、折板屋根用建築金具などのサカタ製作所(本社・長岡市、社長・坂田匠氏)は、若者の建設業離れや大工職人・打ち刃物職人の後継者不足をサポートしようと、地域住民に鉋削りの技を体験できるイベントを企画した。9日、本社工場で鉋削りに魅せられた同好の士による越後木遊会(会長・船津祐司舟弘刃物製作所社長)が「削ろう会全国大会」に向け練習会と体験会を行った。遠く富山、石川からも大工、鍛冶屋等様々な職業のメンバーが集まった。全国大会では6千人の削り師が集まり、ニューヨークやドイツでも支部があり大会を開催。あるメンバーは米国大会に出場予定だという。

 事務局は「一番大事なのは横のつながり。削りを通して木肌の表面がどういう状態か感じて欲しい。水をはじくことで木材の耐久力が持たせられる。最初は鉋体験から技術伝承につなげたい」と語った。国宝法隆寺や松本城、犬山城は槍鉋と呼ばれる刃物で製作され、産地で技術を継承することで日本建築を守り続けている。船津会長は「森林を守り大工が国産材を使うことで林業の活性化につながる。鉋を通じ若い人や学生たちがこれから日本住宅の文化を支えて欲しい」と語った。

 体験会で実際に鉋を曳かせていただいたところ、木材と思えないような薄い布のような削りかすが途切れずに出て感動した。表面を見たところ、波打ってしまった。また木材に対し左右1ミリしか余裕のない刃をまっすぐ引く難しさを知った。

 同社は三条や与板の刃物製造技術の粋を集めた業務用かき氷マシンで来場者に絶品のかき氷や鰹節を乗せた油揚げを振る舞って盛り上げた。

削りの妙を体験
好評だったかき氷

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