超名門サッカークラブの『FCバルセロナ』が日本で毎年実施しているサマーキャンプを見学。そこから見えたスペインの育成をバルサメソッドを基に考察!
10年以上の歴史を誇り、過去には久保建英も参加!
FCバルセロナのキャンプ2007年以降毎年開催されており、これまでに約4000人の子ども達が参加している。今夏は宮城、福島、北海道、栃木、神奈川、東京、埼玉、千葉、愛知、富山、新潟、奈良、大阪、兵庫と14の都道府県で開催された。対象年齢は奈良以外は小学校1年生~中学校1年生で奈良のみ小学校1年生~中学校3年生となっている。
同キャンプには過去に久保建英も参加しており、MVPを獲得している。MVPを獲得した選手は、現地スペインでFCバルセロナエリートプログラムに参加することが可能となっている。
なお、MVPの選出基準は以下のようなものがあるという。
なお、MVPの選考基準については、以下の人間的な基準と技術的な基準があるという。
①謙虚であること
②野心的であること
③チームプレーができること
④努力すること
⑤仲間、相手などに敬意を払えること
①技術的質(バルサの戦術に沿った技術かどうか)
②ポジション取りのスピード
③予測スピード
④ボールを失わないか
⑤判断力に優れているか
⑥プレーに連続性があるか
⑦攻守の切り替えのスピード
2018年は総勢12名のコーチがスペインから来日し、6クールに分かれ指導を行い、MVP2名を選出したという。
埼玉クールを見学して感じたバルサキャンプの特徴とは!?
筆者は、さいたま市のレッズランドで行われた埼玉クールを見学した。開会式や保護者説明会を経て、10時半から12時まで午前のトレーニングが行われた。同キャンプの特徴は、カテゴリ分けをするのに、年齢だけでなく、選手の身長も考慮している点だろう。基本的にサッカースクールやこのような短期のクリニックやU-8、U-10、U-12のように年齢ごとでカテゴリを分けることが一般的だがバルサは年齢だけでなく、身長も参考にしている。
なお、埼玉クールの定員は84名となっている。この日は参加した選手を複数のグループにわけ、
ボールを回しを中心にトレーニングが行われた。鬼(ディフェンス)とボール回す選手に分かれ、
それにフリーマンを加えての戦術練習を複数の種類、パターンで行ったが、どのトレーニングも
頭を使い、選手自らが考えてプレーしないとトレーニングが成り立たないようになっている。
そして、それぞれのトレーニングの最初に必ず目的を選手に伝え、終わる度にコーチが選手に「今のはどうだった?」と問いかけ、フィードバックをしていた。そして、「次はこういう形でトレーニングをする」と説明をしてから、次のトレーニングに移っている。
選手達にトレーニングの意図や戦術の原理、原則を理解してもらうことはとても重要なことであり、バルサキャンプではそれらが徹底されていた。選手とコーチがコミュニケーションを密に取りながら
トレーニングが行われ、選手自らの思考力や創造性が伸びるような仕組み作りがされているのが大きな特徴である。
バルサキャンプを見て感じた、日本とスペインの育成の違い
今夏のバルサキャンプを見学し、感じた日本とスペインにおける育成の違いとは何だろうか。それは、子ども達の「創造性」を養うようなトレーニングの方法や環境ではないだろうか。同キャンプを見学した数日後にエスパニョールキャンプの取材にも出向いたが、エスパニョールも子ども達に考えさせることを重視してキャンプやスクールを開催しているようだ。
日本の指導者達は良くも悪くも、サッカーを教えて過ぎてしまう。そのため、選手達はコーチから与えられたことを一生懸命やろうとするあまり創造性の部分でスペインの子ども達に劣るという。複数のスペイン人に聞いても、日本人のテクニックは素晴らしく、スペイン人と比べても同等がそれ以上だと答える。テクニックでは負けていない日本人だが、創造性やそれを身に付ける環境でスペイン人と差がついている。
今後、日本の育成年代の環境が良くなることと日本サッカーのさらなる発展に期待したい。