ジェイソン・ムラーズ『ノウ。』 初めて聴くのになぜか親しみを感じるメロディー

ジェイソン・ムラーズ『ノウ。』

 15年以上のキャリアを持つヴァージニア州出身のシンガー・ソングライター、ジェイソン・ムラーズ4年ぶりの新作です。2008年のサード・アルバムからのシングル「アイム・ユアーズ」が、全米トップ100に75週間チャート・イン、日本でもビールのCMに起用され一躍注目されました。

 ナチュラルなサウンドとポジティヴな愛の歌が持ち味の彼の曲ですが、なぜか初めて聴いてもどこかで聴いたような親しみを感じさせます。意地の悪い評論家でしたら「元歌はこれ!」なんて言いそうですが、実は“聴いたようなメロディ”はヒット曲の大切な要素なのです。音楽は継承芸術、この世の全ての曲がゼロから作られるのではありません。ソングライターの優劣は彼らの音の引き出しの多さに比例します。ジェイソンの書く曲には70年代のフォーク、ロック、ポップ、R&B、ジャズまで多くの要素が感じられます。本アルバムからのシングル「ハヴ・イット・オール」をお聴きください、どこかで聴いた気がすると思います。

(ワーナーミュージック・2457円+税)=北澤孝

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