アリアナ・グランデ『スウィートナー』 悲しみを乗り越え、生まれ変わった25歳

アリアナ・グランデ『スウィートナー』

 ヒップ・ホップ系のアーティストがトップ10の8~9割を占める今日の全米アルバム・チャート。ポップス勢の苦戦が伝えられるなか見事初登場1位を奪還した、アリアナ約2年ぶり4枚目の新作です。デビュー時には新しいアイドルの登場ぐらいに思われていた彼女ですが、過去3枚の作品でその才能を証明、この新作では新世代のポップスのカタチを見せてくれました。

 15歳でブロードウェイ・デビュー、1stアルバムではマライア・キャリーなどの90年代ディーバの歌唱をこなし、2ndアルバムでは時代のダンス・サウンドを取り入れ、前作ではR&Bの香り高い歌唱で脱アイドルを果たしました。そして今作、新しく生まれ変わった25歳の彼女が出現したのです。変化の理由は2017年5月のマンチェスター・ライヴでのテロ事件。ショックのあまりPTSDに陥った彼女が、「涙も尽き果てた」という心情から愛と融和、そして強い女性をコンセプトに、誰の真似でもない自身の歌唱で表現しています。

(ユニバーサル・2200円+税、CD+DVD3100円+税)=北澤孝

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