オランダ人 被爆死捕虜を登録申請 歴史研究家・森さん 長崎の祈念館に

 戦時中に長崎市幸町にあった福岡俘虜(ふりょ)収容所第14分所に収容され、長崎原爆で死亡したオランダ人捕虜の名前が25日、長崎市平野町の国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館に登録申請された。近く公開される予定。被爆した外国人捕虜を40年以上調査する広島の被爆者で歴史研究家の森重昭さん(81)=広島市=が同日、遺族の代理で申請した。

 オランダ人捕虜の名前はマクシミリヤン・ベルナルルシ・ヨーセフ2等兵。被爆直後の1945年8月22日に22歳で死亡した。

 森さんは長年の研究で、元オランダ人捕虜が出版した書籍や連合国軍総司令部(GHQ)の資料から捕虜の名前を特定。爆心地から約1・7キロの14分所に収容された英国、オランダ、オーストラリアの原爆死没者計14人の登録にこれまで関わってきた。今回は、現地の日本人を通じて遺族に申請書を渡してもらい、今月21日に手元に届いた。

 国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館を訪れた森さんは黒川智夫館長に申請書を手渡し、「原爆で死亡した捕虜の記録が後世に残ることによって被爆史が伝わっていけば」と話した。

 森さんは2016年、広島を訪れたオバマ前米大統領と抱擁し注目を浴びた。同館にはこれまで長崎原爆で死亡した9256人の名前が登録済み。このうち外国人は28人、外国人捕虜は18人。

申請書を手に思いを語る森さん=長崎市、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館

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