長崎県のベンチャー株 損失1億9300万円 大学発などのベンチャー 県産業振興財団 8社

 定例長崎県議会は25日、総務、文教厚生、環境生活、農水経済の4常任委員会の審査を始めた。長崎県は農水経済委で、長崎県産業振興財団が2003~2007年度に県費から約2億1300万円を出資した大学発などのベンチャー企業8社すべての株を売却したことを報告。損失額は約1億9300万円になることを明らかにした。

 前田哲也委員(自民)の質問に、井内真人新産業創造課長が答えた。

 長崎県産業振興財団は、長崎県の外郭団体。8社とも目標の株式上場が見込めなかった。弁護士や公認会計士らでつくる外部専門家委員会が、長崎県のベンチャー投資に一定成果を認める一方、投資に公金を使うリスクの高さを指摘し、売却を提言。これを踏まえ長崎県は昨年3月の農水経済委で、財団が株式を売却する方針を説明していた。

 長崎県新産業創造課によると、8社のうち5社は債務超過に陥ったため、実質的に価値を失う「備忘価格」で売却。債務超過のない3社を含めた売却額は計約2千万円で、目標の計約6千万円を下回った。8社のうち大半は事業を継続している。

 前田委員は「既に終わったこと、ではなく成功しなかった要因の分析をして次に生かすことが大切」と指摘した。

 長崎県は、創業や起業の促進が地域経済の活性化に重要だとして、直接投資以外の側面支援をしていく考え。

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